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17  イタリア    Republic of Italy

イタリア経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年の経済成長率は、1%弱程度となる見込みであり(民間機関5社の平均値0.5%、2002年10月時点)、春時点の見通しと比べ下方修正されている。1〜3月期の成長率が前期比年率0.5%、4〜6月期が同0.9%となっており、2001年後半の景気減速の後、2002年前半は受注の増加を背景に在庫投資が増加したことなどから、景気は持ち直し傾向となっている。しかし個人消費は弱含んでおり、ユーロが対ドルで大幅に増価したことなどから輸出は不振が続き、固定投資の減少が続いていることなどから、年後半の経済成長も前半とほぼ同様、緩やかなペースにとどまると見込まれている。
 イタリア政府も、成長率見通しを2002年7月時点の1.3%から9月には0.6%と下方修正している。改善傾向にある雇用環境等を背景に個人消費に持ち直しの動きがみられるものの、ユーロ圏の景気回復の動きが弱いことなどにより輸出は弱含むものとみられている。

イタリアの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2003年の経済成長率は、2%程度となる見込みである(民間機関5社の平均値1.8%、2002年10月時点)。成長を支える要因としては、失業率の低下傾向の持続が見込まれることに加えて2003年から実施される低所得者支援のための減税措置等によって個人消費の回復が期待されることや、世界経済の緩やかな回復に支えられて輸出も回復することなどが挙げられる。また投資促進税制の浸透により企業の設備投資も増加することが期待されている。
 下方リスクとしては、欧米株式市場の下落等を背景に世界経済の回復に不透明感が増していることなどが懸念材料として挙げられる。

<財政政策の動向>
 2002年の財政収支は、2001年に引き続き財政赤字がGDP比で2%を超過する見込みであり(GDP比▲2.1%)、「安定と成長の協定」に定められた3%以内という上限に迫りつつある。イタリア政府は従来、2003年までに財政収支をほぼ均衡させると欧州委員会において公約していたが、7月にその公約を撤回し、財政収支均衡達成期限を2年繰り延べて2005年とする計画を発表した。9月に発表された2003年度予算案には、低所得者層に対する所得税減税や法人税率の引下げ(36%から34%へ)など約75億ユーロ(GDP比0.8%)の減税が盛り込まれており、景気回復を下支えると期待されている。また財政赤字削減のため、政府調達の効率化等による一般歳出削減のほか、国有資産の売却・証券化や、地下経済対策による増収等が挙げられている。


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