<2002年の経済>
2002年の経済成長率は、景気の拡大テンポが高まっていることから、年間を通じて7%をやや上回る見込み(政府見通し7%前後、民間機関25社の平均7.5%(2002年10月時点))であり、民間機関の見通しは、春時点の見通しに比べて上方修正されている。
年後半にかけての動きとしては、積極的な財政政策と高い消費により引き続き国内需要が景気を牽引していくものと考えられる。さらに、輸出が2002年9月には前年同月比で33%増と高い伸びを続けてことが成長を押し上げている。失業率は1〜9月期で3.9%となっていることから、雇用調整が続いているものとみられるが、政府目標(4.5%)を下回ると考えられる。
<2003年の経済>
2003年の経済成長率は、7%前後の成長になる見込み(政府見通し7%前後、民間機関25社の平均7.4%(2002年10月時点))。
成長を支える要因としては、他のアジア地域で輸出が伸び悩む中、中国では高い伸びを維持している。これは輸出品目に労働集約型の低価格製品が多いことから、価格競争力が強いためである。今後も輸出が景気を牽引していくものと考えられる。また政府の積極財政政策とWTO加盟による外国資本流入の急増により、投資は引き続き高い伸びとなる。
今後の下方リスクとしては、対外的にはアメリカ経済の不透明感による世界経済の伸び悩みが懸念される。国内では、過剰生産の根源である国有企業の抜本的な構造改革が進まない中で、さらにWTO加盟による関税の段階的縮小が輸入品の価格低下をもたらすなど、デフレ傾向の継続も懸念材料となっている。また国有企業改革による大幅な人員削減が行われていることから、失業率の悪化が懸念される。
<財政金融政策の動向>
2000年から実施されている西部大開発計画により、中西部地域への重点的な投資が行われている。一人当たりGDP(2001年)で13倍(上海市37,382元、貴州省2,895元)となっている地域間格差を是正し、内陸部の経済発展を促すことを目標にしている。年間1500億元発行される国債のうち約500億元(GDP比0.5%)を西部大開発にあて、雇用促進と内需の拡大を目指している。
2002年3月の全国人民代表大会で、国有企業のレイオフ(下崗)労働者や定年退職者など弱者層への配慮が強調されたことから、雇用情勢、就業形態の多様化など再就職支援を強化している。一方で最低生活保障などの社会保障関連予算を前年比28%増やすなど社会のセーフティネット構築も取り組まれている。
2002年の財政は、特に歳入の落ち込みが顕著である。税収が減少した理由としては、WTO加盟による関税率の引き下げ(平均関税率15%→12%)が挙げられる。財政支出は年初より積極的な財政政策が行われ、2002年目標に向けた景気の下支えに貢献している。今後は、税収増加とWTO加盟による自由化政策によって外資系企業と国内企業の法人税格差(15%対33%)を是正する案が検討されている。