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2  カナダ    Canada

カナダ経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年は3%程度の成長が見込まれ、民間機関23社の見通しも3.1%と2002年春時点に比べ0.9%上方改訂されている。2001年に成長率が1.5%に低下した後、2002年に入り段階的な金融緩和、アメリカ経済の回復による対米輸出の増加、GDP比2.0%の減税等から回復が強まり、1〜3月期は年率6.0%と高い伸びを示した。4〜6月期についても、設備投資、在庫投資がそれぞれ3四半期、1年ぶりにプラスになったこと等により年率4.5%と好調を保っているが、アメリカ向け輸出の伸び悩みなどから純輸出がマイナスの寄与となっている。2002年後半もアメリカ経済に先行きの不透明感はあるものの、好調が続く個人消費と回復し始めた企業の投資を中心に堅調に推移するものと見込まれる。

カナダの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 景気は回復から拡大局面を迎え、3%台半ばの成長が見込まれる(IMF見通し3.4%(20029月時点)、民間機関23社の平均3.4%(2002年10月時点))。また、カナダ中央銀行は、2003年初めには生産水準はフル稼働状態になると予測している。
 成長を支える要因としては、減税等に支えられ堅調に推移している個人消費のほか、2002年1〜3月期、4〜6月期に企業収益がそれぞれ前期比55.8%、45.4%と大幅に伸びていることから、企業の投資活動の活発化が期待される。
 下方リスクとして、アメリカ経済の回復が一層鈍化することによる輸出の落ち込み、株安の継続等による実体経済への影響等が挙げられる。

<財政金融政策の動向>
 カナダ政府は、94年度より本格的な財政再建に取り組んだ結果、97年度以降財政収支は黒字となっている。95年度にGDP比70.9%あった政府債務残高(ネット)は2001年度にGDP比49.1%まで削減が進んでいる。最近では、大型減税が2001年1月より実施され、早期の景気回復の一因となっている。減税は、史上最高となる5年間で1000億カナダ・ドル(GDP比2%)という大規模で行われた。他方、景気回復により予想以上に税収が増加している。
 カナダ中央銀行は、2002年4月に、力強い景気回復が進んでいることを理由に他の先進諸国に先駆け0.25%ポイントの利上げを行った。その後も回復が続いていること、物価上昇に対する予防等の理由から2度にわたる利上げを行ったが、9月以降、世界的な景気先行きに対する不透明感、株価の低迷、中東情勢への懸念等から据置いており、現在オーバーナイト金利目標水準は2.75%ポイントとなっている。2002〜2006年のインフレ・ターゲットは1.0〜3.0%となっており、このところコア物価上昇率は2.5%前後で推移している。


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