第2章 第4節 雇用の動向

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本節では、2021年以降の地域別の雇用の動向として、地域別の有効求人倍率及び業種別の新規求人数の動きをみる。

(有効求人倍率はこのところいずれの地域においても持ち直し)

有効求人倍率は、感染症の感染拡大の影響を受けた2020年を底として、いずれの地域も持ち直している(第2-4-1図)。2020年9月から2021年12月までの各地域の有効求人倍率をみると、北海道、南関東、近畿及び沖縄といった、大都市部や観光・宿泊業が基幹産業である地域では、上昇幅が0.1ポイント以下にとどまるなど、他地域と比べて戻りが弱い傾向がみられた。しかし、2022年以降は、いずれの地域も2022年11月まではおおむね0.2ポイント前後の上昇となっているほか、上昇幅が低い東北や四国、九州についても有効求人倍率の水準は高く(2022年11月で東北1.50、四国1.50、九州1.34)なっている。2022年7月には2020年4月以来27か月ぶりに全都道府県で1.0倍を上回ったが、足元(2022年11月)においても継続している。

(各地域における新規求人数は増加しているものの、感染症前を下回る状況)

全国の新規求人数の増減率(2019年同期比)の推移をみると、感染症当初の2020年4-6月期に▲27.5%となって以降、減少が続いているものの減少幅は縮小傾向で推移し、2022年7-9月期は▲8.3%となっている(第2-4-2図(1))。産業別にみると、製造業のほか、対事業所サービスなど他に分類されないサービス業、医療・福祉、飲食・宿泊が減少幅の縮小に寄与している。地域別でみると、いずれの地域においても、減少幅は縮小しているものの、2022年7-9月期においては依然2019年同期比でみて減少となっている(第2-4-2図(2)①)。特に三大都市圏を含む、南関東、東海、近畿の減少率が大きい。一方で、北海道は建設業、医療・福祉、東北、北関東、甲信越は製造業や建設業、九州は医療・福祉、製造業、建設業が増加に寄与していることから、2019年同期比でみた減少幅が全国よりも小さい。

製造業について業種別の新規求人数の増減率(2019年同期比)の推移をみると、全国では、感染症当初の2020年4-6月期に▲3.8%となった以降は、減少幅が縮小するなどし、直近の2022年7-9月期には0.1%の増加となった(第2-4-3図(1))。産業別に2020年4-6月期からの変化寄与度をみると(第2-4-3図(2)①)、電子部品・デバイス、電気・情報通信機械、汎用・生産用・業務用機械、鉄鋼・非鉄金属・金属製品といった産業が押し上げに寄与している。地域別でみると(第2-4-3図(2)②)、東北、北関東、甲信越、北陸において、2022年7-9月期の増加率(2019年同期比)が1%を超えているが、これらの地域いずれにおいても、全国で押し上げ寄与が高かった汎用・生産用・業務用機械、電子部品・デバイス、電気・情報通信機械、鉄鋼・非鉄金属・金属製品といった産業の寄与がプラスとなっている。

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