第3節 復旧・復興に向けた動き
1.復旧に向けた取組
(被災地における復旧の進展)
震災により甚大な被害を被った各地域では、官民一体となって復旧作業に懸命の努力が傾けられている52。被災3県の沿岸市町村における瓦礫撤去作業は、2011年度末までに撤去率100%を目指して進められており、第2-3-1図に示されるように、その進捗を10月24日現在でみると、岩手県77%、宮城県58%、福島県49%となっており、全体では61%が完了している53。
第2-3-1図 災害廃棄物撤去率
(備考)
- 環境省「沿岸市町村の廃棄物処理の進捗状況」より作成。
- 撤去率は2012年3月目標の達成状況でがれき推計量に対する搬入済量の割合(%)。
また、応急仮設住宅の建設も急ピッチで進められており、10月24日現在で51,537戸が完成したほか、民間賃貸住宅の借上げや公務員宿舎の提供等の対応が行われている54。生活インフラも、10月3日現在で約96%、都市ガスは約86%、水道は約98%復旧しており、交通インフラは道路(直轄国道)が約99%、鉄道(在来幹線)が約96%復旧済みとなっている55。
(震災復旧のための公共投資の出動)
震災以降、被災3県における公共投資は震災復旧関連を中心に大きく増加している。公共工事請負金額の前年同期比の推移を第2-3-2図でみると、被災3県では震災発生後2か月目の5月に対前年同月比で9.7%増となってから、7月以外は高い伸びとなっており、特に災害復旧関連の公共投資がその伸びを大きく支えている。
第2-3-2図 震災後の公共投資の動向
(備考)
- 北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社及び西日本建設業保証株式会社「公共工事前払金保証統計」より作成。
- 少額工事その他保証対象とならなかった工事は含まれない。
- 東北の地域区分はA。
- 下軸の発災経過月数については、東日本大震災は2011年3月、阪神・淡路大震災は1995年1月から、それぞれ開始。
52 今回の震災の復旧・復興状況の推移を把握する指標として、総合研究開発機構(2011)では、「東日本大震災復旧・復興インデックス」を作成し、生活基盤の復旧状況及び人々の活動状況を指数化する試みに取り組んでいる。
53 環境省10月25日公表資料による。
54 東日本大震災復興対策本部事務局10月24日公表資料による。
55 東日本大震災復興対策本部事務局10月17日公表資料による。電気、都市ガスは東北3県の、水道は全国の供給停止最大戸数に対する復旧率。道路は国道4、6、45号線、鉄道(在来幹線)は東北線、常磐線等で、原発警戒区域等内の区間を除く。