第2節 震災の経済への影響
1.震災による経済被害(ストック)
(震災による被害額)
震災による経済的被害は甚大なものであった。社会インフラ等経済ストック(社会資本・住宅・民間企業設備)の被害額については、震災発生から2週間足らずを経た3月23日に、内閣府から月例経済報告等関係閣僚会議において報告されている。これによると、その被害額は約16~25兆円と試算された32(第2-2-1表)。さらに震災の約3か月後の6月には、内閣府から、各県及び各府省からの被害額に関する提供情報に基づき、推計被害額は約16.9兆円に達すると公表されている33。
第2-2-1表 資本ストック被害額推計
(備考)
- 阪神・淡路大震災については総理府「阪神・淡路大震災復興誌」、兵庫県「阪神・淡路大震災の復旧・復興の状況について(2010年12月)」、新潟県中越地震については新潟県公表資料より作成。
- ケース1の建築物の損壊率の想定については津波被災地域を阪神・淡路大震災の2倍程度とし、非津波被災地域を阪神・淡路大震災と同程度とした。
- ケース2の建築物の損壊率の想定については津波被災地域をケース1より大きいものとし、非津波被災地域を阪神・淡路大震災と同程度とした。
阪神・淡路大震災における被害額が約9.6兆円(国土庁推計)あるいは約9.9兆円(兵庫県推計)であったことと比べても、今回の震災の被害がいかに大きかったかが分かる。
ストック被害の内訳をみると、特に建築物等や社会基盤施設の被害額が大きかった。阪神・淡路大震災時と比較すると、特に農林水産関係の資本ストックの損壊が大きかったことが分かる。
32 この推計は、内閣府の経済財政分析部局が行ったもので、被災地を特に被害の大きかった被災3県とその他(北海道、青森県、茨城県、千葉県)に分け、さらに前者のうち津波被災地域と非津波被災地域に分けた上で、資本ストックの種類別に、その時点で入手可能な損壊状況に関する情報に基づいて損壊率を想定し、資本ストック額に乗じてそれぞれ推計したものである。推計方法等については、以下の閣僚会議資料を参照。
https://www5.cao.go.jp/keizai/bousai/pdf/keizaitekieikyou.pdf(PDF形式)
https://www5.cao.go.jp/keizai/bousai/pdf/keizaitekieikyou.pdf(PDF形式)
33 この推計は、内閣府の防災担当部局によるもので、各資本ストックの被害金額に関する情報を各県及び関係府省から個別に収集して積み上げたものである。公表資料は、以下のページを参照。
http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/110624-1kisya.pdf(PDF形式)
http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/110624-1kisya.pdf(PDF形式)