第2章 第2節 1 日本からアジアへの輸出の動向(概況)
第2節 アジアとの間の物の流れ
1 日本からアジアへの輸出の動向(概況)
(対アジア・対中国向け輸出の推移)
前節では、「人の流れ」についてみてきた。本節では、「物の流れ」を取り上げる。具体的には、日本の各地域からアジアへの輸出について分析する。
まず、最近の日本の輸出動向についてみてみよう。世界全体に対する輸出金額の推移を前年同期比でみると、リーマンショック後における世界的景気の落ち込みを背景に、2008年10~12月期より前年比マイナスとなり、2009年1~3月期には前年比40%前後の減少を記録した。その後、2009年4~6月期以降は、世界の景気の持ち直しを受けて徐々にマイナス幅を縮小し、2010年に入ると前年比で大幅な増加となった。このような推移は、対アジア、対中国輸出でも概ね同様にみられるが、対世界輸出がプラスに転じたのは2010年1~3月期であるのに対して、対アジア、対中国輸出は、それ以前の2009年10~12月期には前年比プラスに転じている。これは、アジア、中国がいち早く景気回復したことを反映しているものと考えられる(第2-2-1図、第2-2-2表)。
第2-2-1図 世界、アジア、中国への輸出総額(四半期毎の前年同期比)の推移
(備考) 財務省「貿易統計」税関別国別品別表(輸出 2008.1~2010.3)により作成。
第2-2-2表 世界、アジア、中国への四半期毎の輸出総額(2007年~2010年1~3月期)
(備考) 財務省「貿易統計」税関別国別品別表(輸出 2007.1~2010.3)により作成。
次に、輸出金額そのものを比較すると、2009年の輸出額は、対世界が約54兆円、対アジアが約29兆円、対中国が約10兆円であった。いずれも2008年と比べると大幅に減少したが、対アジア、対中国の対世界に占めるウェイトは高まる結果となった。2010年に入ってもそうした傾向は続いており、対アジアは対世界の5割超、対中国は対世界の2割弱を占めるに至っている(第2-2-3図)。
第2-2-3図 世界、アジア、中国への輸出総額
―日本の輸出に占めるウェイトが高まっているアジア、中国向け輸出―
(備考)
- 財務省「貿易統計」税関別国別品別表(輸出 2008.1~2010.10)により作成。
- 括弧内の数字は全世界に占めるシェア。