第2章 第2節 3.12000年代半ば以降の動き

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(地域差が一層拡大する就業者の動き)

2000年代半ば以降(2005~2008年)については、前述のとおり、就業者数は、三大都市圏では増加となり、地方圏では減少している。この期間に、三大都市圏では生産年齢人口は減少したものの、就業者数は増加しており、地方圏でも、就業者数の減少率が生産年齢人口の減少率を下回っていることから、三大都市圏と地方圏の間で程度の差こそあれ、2000年代前半に比べると、労働市場の状況は改善したと言えよう。

こうした就業者数の増減を男女別に要因分解してみると、三大都市圏では男女ともに増加している一方、地方圏では男女ともに減少している。特に南関東では、男女ともに高い伸びとなっている(第2-2-8図)。

第2-2-8図 就業者数の変化率 男女別要因分解(05→08年)

第2-2-8図

(備考) 1. 総務省「労働力調査」により作成。
2. 地域区分はC。
3. 05年は年平均、08年は第1~3四半期平均。

男性の就業者数の変化をさらに、3つの年齢階層(15~59歳、60~64歳、65歳以上)に分けてみると、団塊の世代が60歳を超え始めたことから、ほぼ全ての地域で、「60~64歳」、「65歳以上」が増加しているものの、「15~59歳」は地域間で動きが異なる。「15~59歳」が地方圏で大きく減少している一方、南関東では増加に寄与している。また、東海でも、「15~59歳」は減少しているものの、減少率が他地域に比べかなり小さい(第2-2-9図)。女性の就業者についても、この期間には、ほぼ全ての地域で、「60~64歳」、「65歳以上」が増加し、男性と同じような動きとなっている。しかし、「15~59歳」は、男性と同様に、南関東のみで増加し、他地域では減少している。

第2-2-9図 就業者数の変化率 年齢階層別要因分解(05→08年)

第2-2-9図

(備考) 1. 総務省「労働力調査」により作成。
2. 地域区分はC。
3. 05年は年平均、08年は第1~3四半期平均。

この期間における各地域の「15~59歳」の動きを要因分解すると、生産年齢人口が減少していることもあり、いずれの地域でも人口変化要因は減少に寄与していたが、南関東は、人口流入が続いていたこともあり、他地域に比べて「人口変化要因」のマイナス幅がかなり小さかった(第2-2-10図)。さらに、就業率変化要因については、女性を中心に他地域に比べてプラス幅がかなり大きかった。このため、南関東では、就業率変化要因のプラス幅が、人口変化要因のマイナス幅を上回り、就業者数は増加していた。一方、地方圏においては、いずれの地域でも、就業率変化要因は増加に寄与していたものの、そのプラス幅は、南関東や近畿と比べるとかなり小さい。

第2-2-10図 15~59歳就業者数変化率(05→08年)

第2-2-10図

(備考) 1. 総務省「労働力調査」により作成。
2. 地域区分はC。
3. 05年は年平均、08年は第1~3四半期平均。
4. 要因分解は以下による。
  就業者数:E、人口:P、就業率:eとしたとき、E=e×Pより
  (就業者数前期差)=ΔE≒Δe×P+e×ΔP
  両辺をEで除して
  (就業者数変化率)=ΔE/E≒(Δe/e)+(ΔP/P)=(就業率変化要因)+(人口変化要因)
5. 労働力状態不詳数は人口に含まない。

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