第2章 人口減少圧力の強まる地域経済 <要約>
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第1節 地域別にみた人口減少の動き
- 1980年代以降の地域ブロック別の人口の動きは大きく以下の3つ(A~C)に分けられる。
A:人口増加が続く地域(南関東、東海、沖縄)
B:2000年代に入り人口減少が始まった地域(北関東、北陸、近畿、九州)
C:80年代もしくは90年代に既に人口が減少していた地域(北海道、東北、中国、四国)
- 2000年代半ば以降、Aでは人口増加率が高まるが、B、Cでは人口減少が続く。特にCで減少テンポが速まり地域間のばらつきが拡大。
- 市町村レベルでは、2007年度末には、人口減少の市町村は全市町村の8割弱、地方圏に限ると地方圏の全市町村の9割弱。さらに、「自然減かつ社会減」の市町村の占める割合が地方圏では8割弱に高まっており、人口1万人未満の市町村の大半は「自然減かつ社会減」。
第2節 地域別にみた就業者数の動き
- 就業者数は、90年代前半までは全地域で増加していたが、90年代後半以降、沖縄以外の全ての地域で減少。90年代後半と2000年代前半を比較すると、三大都市圏や九州等では減少テンポにあまり変化がないものの、北海道、東北、北関東では減少テンポが速くなった。
- 2000年代半ば以降、三大都市圏では増加したが、地方圏では減少。年齢別では、「60~64歳」「65~69歳」はほぼ全ての地域で増加。「15~59歳」は南関東のみで増加。これは、南関東では、人口流入が続いていたこともあり「15~59歳」の人口減少の程度が他地域よりも小さかったことに加え、女性を中心に就業率が大きく上昇したため。
第3節 地方圏における拠点的都市の役割
- 地方圏で人口や就業者が減少する状況の下、地域経済の活力や都市関連サービスの水準を維持するため、広域的エリアで拠点となる市の都市機能の集積を有効に活用しつつ、周辺地域とのネットワークを強化し、圏域全体として活力を維持することが一層重要。
- 地方圏にある政令指定都市や人口20万人程度以上の市(50市)の就業者の伸びをみると、50市のうち、地方圏平均を上回る市は90年代前半には9割弱であったが、2000年代前半には6割弱に減少。圏域の雇用を確保するという、拠点的都市としてのかつての機能を低下させた市が、90年代後半に増加し、2000年代に入りその傾向が強まる。また、情報化やサービス化に対応できた都市とそうでない都市とで就業機会に大きな差が生じた。
- 地方圏の拠点的都市が、広域エリアにおける経済活動や住民の暮らしの安心の確保のため、産業構造の変化への対応を含め地域を牽引する活力をいかに維持するかが課題となる。
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