第3章 第5節 ケーススタディ3:阿波おどり
阿波おどりは、四国の夏祭りでは随一の集客力を誇る。例年8月12~15日の4日間で130万人もの人出を記録し、徳島市の人口27万人を大きく上回る(第3-5-8図)。「連」と呼ばれる踊りの集団が数多く結成され、本番に向けて日々練習に励んでいる。期間中は、市の中心街一円が踊りの渦に巻き込まれ、興奮のるつぼと化す。
第3-5-8図 阿波踊り(徳島市)の集客数
(備考) | 1. | 徳島市へのヒアリングにより作成。 |
2. | 8月12~15日の4日間の累計。 | |
3. | 96年度における減少は台風12号の影響で、13、14日と中止されたことによる。 |
「阿波おどり」は、徳島県を舞台にした映画「眉山」(07年5月全国公開)でクライマックスのシーンでも効果的に使用されており、映画を見た人が、阿波おどりを見に来るという相乗効果ももたらした27。
地鶏の生産量日本一を誇る「阿波尾鶏」は、「阿波おどり」の高い知名度を活かしたネーミングである。徳島畜産研究所が88年に開発し、ピンと立った美しい尾羽が特徴であったため、研究所の職員が躍動感あふれる鶏をイメージして、「阿波尾鶏」と呼んでいたのがきっかけとなった。
一般の鶏の2倍以上、80日以上をかけて飼育・生産しており、脂身が少なく歯応えの良い肉質であり、うまみの決め手となるグルタミン酸やアスパラギン酸が他の地鶏よりも豊富とされている。飼育羽数は年々増加しており、10年前と比較すると、6倍以上にもなっている(第3-5-9図)。
第3-5-9図 阿波尾鶏の生産羽数
(備考) | 徳島県養鶏協会公表資料により作成。 |
なお、販売開始当初は、東京のデパートではさっぱり売れず、ネーミングが良くないとクレームを付けられたものの、関西ではネーミングが洒落ているとの評判をとっており、東西の洒落に対する許容度の差が出る格好となった。
27. | さらに、「阿波DANCE」(07年8月公開)では、踊りそのものがテーマとなっており、ヒップホップの大会で優勝した東京からの転校生と、地元の阿波おどりに命をかける高校生による、踊りの融合が描かれている。 |