第3章 第3節 3.上乗せ寄付金と地域経済
いわゆる「寄付金」の規模は日本全体で、どれくらいになっているのだろうか。消費実態調査で寄付金額をみると、04年には年間1世帯当たり465円という結果になっている。単純に世帯数を掛けると、230億円余になる(第3-3-2図)。
第3-3-2図 1世帯当たりの平均寄付金額
(備考) | 総務省「国勢調査」(05年)、「全国消費実態調査」(04年)により作成。 |
具体的に「寄付金」と銘打った形を取らない寄付も存在する。売り上げの一部を寄付したり、商品の価格に寄付金分を上乗せして、販売したりする方式である。
前者については、大手小売チェーンが興味深い取組みをしている。毎月特定の日を決めて、地域ボランティア団体などの名前と活動内容を書いた投函ボックスを設置し、消費者がレジ精算時に受け取ったレシートを応援したいボランティア団体の投函ボックスに入れると、買い上げ金額の1%が地域ボランティア団体などに希望する品物で贈呈される。02年度には贈呈相当額が約3,955万円だったものが、06年度には約1億1,142万円にまで増加した(第3-3-3図)。また、07年5月に、あるビール会社が愛媛県松山市の進める街づくり18に共鳴し、同市の地図を絵柄にした限定缶を販売し、1缶当たり1円を同市に寄付するという試みを行った。発売数は7万2,000本であり、全部販売したとしても寄付金額は7万2,000円にしかならないが、企業の地域貢献の一環として、注目すべき事例である。
第3-3-3図 大手小売チェーンの贈呈相当額の推移
(備考) | 大手小売チェーンホームページにより作成。 |
後者については、07年6月に、神戸の製菓会社が、北海道夕張市の支援のために、菓子業界初となる寄付金付のチョコレートを発売した。希望小売価格147円のうち、10円が寄付金となっており、商品売上1個につき10円を、「幸福の黄色いハンカチ基金」に寄付する仕組みを取っている。2か月近くの販売で、寄付金額は1,900万円に達した。
18. | 松山市では、故司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」をテーマにした街づくりを進めており、07年4月に「坂の上の雲ミュージアム」が開館した。 |