第3章 第2節 1.地域内の循環を目指すサービス業

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高齢化が進行する中で、医療・福祉産業は確実に拡大が見込まれている産業である。01年から06年までの消費支出をみると、全体が伸び悩んでいる中で、「保健・医療」のための支出は全地域で増加しており、同期間において、医療・福祉サービスに従事する就業者も増加している(第3-2-1図、第3-2-2図)。

第3-2-1図 保健・医療の消費支出額の推移

第3-2-1図

(備考) 1. 総務省統計局「全国消費実態調査」により作成。
2. 高齢者世帯とは、65歳以上の無職の世帯員がいる世帯。
3. 1世帯1か月当たりの消費支出額。

第3-2-2図 医療・福祉の就業者数の推移

第3-2-2図

(備考) 1. 総務省統計局「労働力調査」により作成。
2. 地域区分はC。

人々が生活していく上で、医療・福祉サービスはなくてはならないものであり、言わば必需的サービスとでも言うべきものである。高齢者が多くなれば、なおさらである。高齢者が医療保険や年金などを利用して、医療・福祉サービスを購入し、その資金が医療・福祉従業者の所得に回って、地域内で循環すれば、他地域に漏れることなく、地域の経済的な自立を高めることが出来る。

そこで、全従業者数に占める介護サービス従業者数の割合と、雇用者報酬に占める介護サービス従業者の給与総額の割合を比較してみると、沖縄県を除く全都道府県で、介護サービス従業者数の割合の方が高くなっており、介護サービス従業員の給与が他の業種に比べて高くないことをうかがわせる(第3-2-3図)。介護サービスがより多種多様となり、生産性を高めることが出来れば、介護サービス従業者の給与が増加することとなり、地域内の所得がよりスムーズに循環すると考えられる。

第3-2-3図 介護サービス業の従業者数と給与額の割合(04年)

第3-2-3図

(備考) 内閣府「県民経済計算」(04年度)、総務省「サービス業基本調査」(04年)により作成。

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