第2章 第2節 5.地方の税収の流出
若年人口が流出することで、地方税収にも「漏れ」がみられる。
地方は若者を育てるために、教育や保育サービスなどを提供している。これらを提供するための地方自治体の負担はある意味で「投資」と言える。若者が地方に残った場合には、その地域での生産への貢献に加え、都道府県・市町村住民税や消費関係税(消費税、たばこ税、酒税、自動車税)が地方に納付されるのに対して、都会に出てしまえば、その分が流出してしまうことになる。そこで、地方圏において、高卒者や大卒者の県外就職比率から、1年分の県外への地方税の流出額を試算してみると、県外就職率の高いところでは当然ながら、流出する地方税収が多くなっている8。これらを合わせると、総額280億円余の地方税収が、出身県から流出する結果となった(第2-2-19図)。
第2-2-19図 流出する地方税収の試算(1年分、3大都市圏除く)
(備考) | 1. | 総務省「全国消費実態調査」(04年)、地方財政統計年報(04年度) 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(06年)、「雇用動向調査」(03~05年)により作成。 |
2. | 新規学卒者(県外流出者)が地元に残った場合に見込まれる住民税及び消費関係の地方税収額
(地方消費税、道府県・市町村たばこ税、自動車税)を試算。
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8. | ただし、県外に就職した場合でも、所得税や消費税等の一定割合は地方交付税という形で、地方に還流してくると考えられる。 |