第1章 第2節 1.世論調査にみる人々の意識

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第2節 ばらつきのある景気回復

今回の景気回復には「過去最高」「過去最長」といった形容詞が並ぶが、人々の意識や実感にはどのように表れているのだろうか。また、回復が続く中で、地域間のばらつきはどうなっているのだろうか。以下では過去の回復局面との比較も交えながら検討する。

1.世論調査にみる人々の意識

内閣府の「社会意識に関する世論調査」(07年)は、悪い方向に向かっていると考える分野について、複数の選択肢の中から複数回答可能として、回答してもらっているものである。

結果をみると、悪い方向に向かっている分野の上位5位は教育、治安、雇用・労働条件、国の財政、医療・福祉となったが、「地域格差」についても26.5%の人が挙げている。02年では7.4%であったことから、地域格差に対する人々の意識が急速に高まっていることが読み取れる。実際、07年の水準はこの項目が調査対象になった89年以来、最大となっている。

一方で、「景気」について悪い方向に向かっていると挙げた人は、02年には65.3%だったが、07年は21.1%と縮小しており、景気回復に伴って改善していることが読み取れる。「地域格差」について、悪い方向に向かっていると感じる人の割合が「景気」よりも高くなったのは初めてのことである(第1-2-1表)。

第1-2-1表 内閣府の世論調査

  07年1月 06年2月 05年2月 04年1月 02年12月
教育 36.1 23.8 28.6 20.7 21.1
治安 35.6 38.3 47.9 39.5 30.7
雇用・労働条件 33.5 28.9 35.4 44.6 51.6
国の財政 32.7 33.2 39.1 38.3 41.9
医療・福祉 31.9 19.0 15.2 17.7 19.3
自然環境 30.5 26.1 29.6 27.4 29.3
社会風潮 28.0 25.7 27.3 24.5 22.9
地域格差 26.5 15.0 9.7 7.5 7.4
外交 22.4 31.3 23.5 20.1 19.3
景気 21.1 20.5 38.5 45.5 65.3
資源・エネルギー 18.7 17.8 13.4 10.8 11.3
防衛 17.6 16.0 18.7 21.0 14.1
国民性 14.8 12.1 13.0 12.1 12.6
物価 14.6 16.4 22.8 23.3 30.3
経済力 13.3 13.1 20.5 24.0 34.4
生活環境 13.3 11.9 13.3 13.7 14.5
食糧 13.0 12.8 10.9 14.4 10.5
交通秩序 9.9 7.3 7.2 7.5 8.9
土地・住宅 5.9 5.8 5.8 6.1 8.4
国際化 4.5 5.5 3.7 3.2 4.1
防災 4.2 4.6 6.2 3.8 3.8
文化 3.6 2.8 2.8 2.7 3.6
科学技術 2.2 1.4 1.9 2.5 2.1
通信・運輸 1.9 1.6 1.6 1.5 2.5
その他 0.4 0.3 0.5 0.4 0.4
ない、わからない 6.7 6.4 5.0 5.1 4.7
(備考) 内閣府「社会意識に関する世論調査」により作成。

地域格差に対する意識の高まりは他の調査でもみられる。国土交通白書(06年)のアンケート調査によると、最近、大都市と地方の間で地域格差が「拡大している」「やや拡大している」と考える人が、全体の6割程度となっている。中でも、「所得水準」、「雇用情勢」、「医療・福祉水準」について、地域格差が拡大していると感じる人が多い(第1-2-2表)。

第1-2-2表 国土交通省のアンケート調査 -地域格差が拡大していると考える点-

  割合(%)
所得水準 67.2
雇用形態 60.7
医療・福祉水準 42.3
公共交通の利便性 35.9
買い物の利便性 26.3
教育水準 23.1
文化・娯楽活動の機会 22.4
道路などの整備状況 14.8
居住環境 14.6
情報通信環境 12.7
治安状況 10.3
わからない 1.7
(備考) 国土交通省「平成18年度国土交通白書」により作成。

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