第1章 第1節 2.活況を呈する地方港
2.活況を呈する地方港
製造業の生産の増加に伴って貿易量も増加しており、00年から05年にかけての5年間で輸出入総額は30%強増加している。
05年の貿易量の上位50港をみると、地方港の貿易額の伸長が目立つ。貿易額が5年間で倍以上になっているところ(5年で100%以上の増加)の多くが地方港であり、上位から順に水島港、大分港(大分県)、喜入港(鹿児島県)、徳山港(山口県)、防府港(山口県)、福山港(広島県)、室蘭港(北海道)、衣浦港(愛知県)となっている(第1-1-10表)。
第1-1-10表 全国港別輸出入価額順位(05年)
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(備考) | 各税関ホームページにより作成。増加率のない港は新設、または管轄を合併したところ。 |
その要因を港別にみると、水島港では自動車をはじめとして、隣接するコンビナート内の工場からの輸出が好調であり、大分港では05年に稼動を開始した電子部品・デバイスの工場からの輸出、防府港では近隣の自動車工場から出荷される自動車の輸出が好調となっている。喜入港では石油会社の備蓄基地が近隣にあり、原油高も影響して増加している。また、室蘭港では、管内の石油会社の輸入や製鉄会社の輸出が増加に寄与している。総じて、好調な地元企業の存在が港の活況につながっていると考えられる(第1-1-11表)。
第1-1-11表 2000→05年の増加率が100%を超えた主な港とその要因 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(価額:百万円、増加率:%) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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(備考)各税関HP、各税関へのヒアリングにより作成。 |
こうした地方港の伸長の背景には、地域とアジアとの関係の深まりがあると考えられる。税関ごとに輸出入総額に占めるアジアの比率をみると、02年から06年にかけて全国では43.2%から45.7%に上昇しており、横浜、神戸、長崎の各税関を除いた6税関でアジアの比率が高まっている。中でも大阪税関は02年の56.6%から06年には60.5%へ、沖縄税関は36.9%から68.4%へ、6割を越す水準に達しており、アジアとの関係の深化がみられる。東京税関、門司税関においてもアジア比率は5割を超えている(第1-1-12図)。
第1-1-12図 各税関の輸出入総額に占めるアジア比率
(備考) | 各税関ホームページ、各税関へのヒアリングより作成。 |
アジアとの関係の深まりは、空路の就航状況をみても分かる。アジアへの空路は、2000年の84路線から、07年には162路線に拡大している。地方空港からの就航も、2000年の11路線から、07年には24路線に増加している。中でも、中国、韓国への路線の拡大が目立つところである(第1-1-13表)。
第1-1-13表 アジア方面への路線数
(備考) | 1. | 国土交通省航空局「数字で見る航空2000、2007」により作成。 |
2. | 各年1月1日現在の旅客便の数値。 | |
3. | 地方空港とは、東京、大阪、名古屋以外の路線。 |