第2部 第2章 第1節 地方の行政改革への取組状況 9.
9.公共工事のコスト削減と地域要件
公共工事のコスト削減に向けた行動計画の取組状況をみると、実に30団体(90.9%)が実施中・実施済となっており、未検討は1団体もなかった(第2-2-6図)。実施時期をみると97年度からとする回答が全体の約半数と最も多く、公共工事のコスト削減に対する意識は比較的早くから醸成されていたものと言える。内容をみると、中央政府の作成した「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(99年、2000年9月改定)や「公共事業工事コスト構造改革プログラム」(2003年9月)に沿ったものとなったものが目立った。
また、指名競争入札における地域要件について尋ねたところ、多くの自治体で設定していることが分かった。回答をみると、大半の自治体が地域の自然的条件・地理的な条件を勘案し、公共工事を効率的・効果的に行うために地域要件を設定しているが、県内産業の振興と地域経済の発展に寄与するように県内業者に優先して発注しているという回答も見られた。
過度な地域要件の運用(27)は、地域内の建設業者を他地域の業者との競争から遮断し、自地域内の競争にとどめる恐れがある。公共工事のコストがいたずらに高止まりすることがないよう留意していくことが重要である。また、現在、景気は堅調な回復を示しており、この時期にこそ、地域の建設業の新分野進出への取組を進めることを通じて地域経済の足腰を強くしていくことが期待される。