第2部 第1章 第3節 総じて改善の進む地域の雇用 2.

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2.雇用の改善に影響を与える要因

雇用の改善に影響を与える要因は何が考えられるだろうか。

地域別・業種別に雇用者数の増減をみる(第2-1-3(4)図)。

2003年をみると、製造業の雇用は北陸を除いて全地域で減少している。製造業の雇用の減少は単年で起こっているものではなく、ここ10年来の傾向的なものである。要因としては、海外への工場移転による人員整理や工場のオートメーション化の進展が考えられる。

一方でサービス業の雇用は多くの地域で増加している。雇用者数の増加には、サービス業の雇用者数の増加が寄与していると言える。

サービス業の増加の内訳をみると(第2-1-3(5)図)、91年から2001年の10年間でサービス9分野(12)の合計で20%余増加している。このうち最も増加しているのは高齢者ケア分野であり、10年間で2.5倍にもなっている。主な業種は老人福祉事業であり、主なサービス例としては、公設民営ケアハウスサービスや民間の施設・介護サービスが考えられる。また、医療サービス、企業・団体向けサービスもそれぞれ35%余増加している。業種としては、前者は医療業であり、後者は情報サービス・調査業、その他の事業サービス業、つまり情報サービスやロジスティクス支援サービス、人材派遣サービスとなっている。

視点を変えて、雇用者数の増減を男女別に分けてみるとどうか。全体の雇用が伸びている地域では(南関東、九州・沖縄)、女性の雇用の増加がそれに寄与しているという傾向が見てとれる(第2-1-3(6)図)。以上から読み取れることは、サービス雇用の主な担い手となっているのは女性であり、女性の雇用の増加が雇用動向の改善にもつながっているということである。

今後もサービス雇用の潜在的需要は大きいことから、女性の労働市場への参入、雇用の拡大を進めることが、地域の雇用情勢の改善にとって、不可欠となっている。

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