第1部 第2章 第4節 外国人観光客増加への取組を通じた地域経済の活性化 7.
7.まとめ
以上をまとめると6点に集約される。
(1) 誘致にとどまってはならない
外国人観光客増加に向けた取組は各地で盛んになっているが、観光客の誘致にとどまっては地域経済の活性化にはつながらない。誘致には資源が投入されている。誘致した客がリピーターになるか、口コミで輪が広がるかしなければ、投入した資源を上回る効果は得られないであろう。この点、北海道のオーストラリア人観光客の増加は注目される。
(2) 潜在的観光資源は豊富
東海地域の産業観光の例にみたように、いずれの地域にも眠れる観光資源は豊富であると考えられる。これらを発掘し、観光資源として魅力あるものに育て、既存の観光資源と組み合わせたルート設計を構築する取組も重要である。
(3) 地域のブランド化が重要
地域のブランド化・差別化も重要である。誘致成功事例でみたように、北陸の温泉旅館は24年連続で泊まってみたい旅館1位に輝いている。ブランド化が成功し、評判が評判を呼ぶという好循環が成立していると言える。
(4) 観光も競争
観光は地域間の競争でもある。例えば、富士河口湖町の富士山をバックにして湖面に反映する花火を楽しむことのできる花火大会は富士河口湖町の自然条件を前提としている。自然条件は賦存であるから、自然条件で地域が対抗しようとしてもどうしても負けるところが出てくる。逆に自然条件に花火大会という企画を加えたからこそ、他地域に追随できない観光資源になったとも言える。地域間競争によって、日本の観光資源の一層の活性化が期待される。
(5) リピーター確保に向けて
リピーターを確保するためには「いかに観光客を飽きさせないか」が何よりも重要である。そのためには矢継ぎ早の企画が必要となる。地域の知恵を総結集すべきである。必要な規制緩和は特区などの仕組みを活用することが考えられる。既に阿蘇カルデラツーリズム推進特区など、グリーンツーリズムを中心とした観光では、農村における消防器具の設置基準の緩和等が行われている。
(6) つまりは地域の魅力を再構築すること
外国人観光客の増加は地域経済の活性化に役立つものと言えるが、同時に圧倒的に多い国内観光客も増加させることも重要である。国籍がどうであれ、その地域に魅力がなければ観光客はやって来ない。つまりは地域の魅力を再構築することが必要なのである。