第1部 第2章 第2節 輸出に活路を見出す日本の農業 2.

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2.台湾向けのリンゴが好調

果物輸出を輸出先別品目別にみると、輸出先としては台湾が、中でもリンゴの割合が大きくなっている。過去10年間の推移で見てみると、2002年から急増しており、「台湾へのリンゴ輸出」が果物輸出の増加における主因となっている(第1-2-2(2)図)。

10年前のリンゴ輸出は台湾、香港、タイが三分していたが、2003年には台湾のみで9割以上を占めた(第1-2-2(3)図)。これは、2002年に台湾が世界貿易機関(WTO)に加盟したことが契機となっている。日本産リンゴの輸入割当数量が撤廃され、関税も50%から20%に下がり、輸出しやすい環境が整ってきている。「世界一」「陸奥」等の高級品種に引き合いがあるが、日本産リンゴが浸透してきており、「ふじ」「王林」等の普通品種の消費も増加している。

日本一のリンゴ産地である青森では、この好機にさらなる輸出増加を目指し、様々な取組を行っている。2002年には青森県が「青森りんご輸出拡大推進事業」を計画し、輸出量の増大を図るため、台湾の百貨店でのリンゴ見本市や、台湾の現地業者向け販売促進講習を開催した。また、中国市場にも着目している。中国はリンゴ生産量が日本の20倍以上という世界一のリンゴ産地であるが、高級品種では競合しないとみており、都市部の富裕層を中心に日本産リンゴの消費が期待されている。

2003年のリンゴ全国収穫量に占める輸出割合は2%程度で、なおも拡大の余地があると言える。

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