第1章 第1節 緩やかな持ち直しの状況が続いた地域経済 7.
(7) 多くの地域において減少に転じた企業倒産
2002年7-9月期までは、企業倒産件数は関東、北陸、四国など多くの地域において増加していた。2002年における倒産件数(全国計)は、2001年とほぼ同水準(前年比0.4%減)であったが、同年9月以降は減少に転じ、2003年8月まで12か月連続して前年比減少している。
地域別にみると、2002年10-12月期には中国を除く10地域において倒産件数が減少し、全国計では前年同期比11.6%減少した。倒産件数は2003年1-3月期にも北海道と中国を除く9地域において減少した。同年4-6月期には北海道、北関東、四国、沖縄を除く7地域において減少し、全国計では3四半期連続して減少した。東北、南関東、東海、北陸などでは3四半期連続して減少し、近畿では4四半期連続、九州では5四半期連続して減少している(第2-1-9図)。
倒産負債総額をみると、2002年には前年比16.6%減少し、2年連続の減少となった。2003年においても関東、東海、近畿などで減少し、全国合計では2003年4-6月期まで4四半期連続して減少した。こうした倒産減少の背景には、景気が持ち直しに動いたことに加え、中小企業に配慮したセーフティネット保証制度の拡充の効果などがあるとみられる。
このように倒産件数、負債総額ともに引き続き減少しているものの、いくつかの地域においては大型の倒産も依然としてみられた。四国のテーマパークおよび建設会社、北海道の海運会社、東北の不動産会社などである。そうした中で、金融システム面においては、金融機関に対する審査を厳格に実施し、大手銀行に対して公的資本を追加注入するなど、金融システム安定化を目指した施策が実施されている。また、企業の再生を集中的に推進するための仕組みとして2003年4月には産業再生機構が発足した(14)。