第1章 第1節 緩やかな持ち直しの状況が続いた地域経済 5.

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(5) ほとんどの地域において前年水準を下回った公共投資

公共投資は多くの地域において縮減が続いた。公共工事請負金額をみると、2002年度に全国合計で前年度比7.2%減少し、99年度以来4年連続の減少となった。ただし、減少幅は2000年度の12.9%から、2001年度に7.8%、2002年度には7.2%と縮小している。

地域別にみると、すべての地域において前年度より減少し、全地域における減少も4年連続となった(6)。減少幅の大きな地域は、近畿、北海道、東北、中国、沖縄、四国、南関東の順になり、これら7地域においては減少幅が全国平均を上回った。このうち南関東を除く6地域においては減少幅が前年度から拡大した。一方、減少幅の小さな地域は、東海、北陸、九州、北関東の順になり、これら4地域においては減少幅が全国平均を下回った。また、これらの4地域では前年度から減少幅が縮小した。 2001年度においては、地方の機関による発注の減少を主な理由として公共投資の減少が続いたが、2002年度においても地方の財政状況を反映して、地方の機関による発注の減少が続いた(第2-1-6図(1))。北陸、九州、東海、沖縄、四国などにおいては、中央政府による発注が増加し、公共投資の減少が緩和された。これはそれぞれ、国立大学、北九州空港、中部国際空港、国立劇場、四国横断自動車道延伸に関連した発注が関係している。

2003年度について8月までの累計をみると、沖縄を除くすべての地域において公共工事請負金額は前年水準を下回っている(7)。その減少幅は、中国と近畿を除いて前年度より拡大しており、特に北陸、北関東、四国、北海道においては減少幅が2割前後となっている(第2-1-6図(2))。

各地域においては、公共事業予算の削減が続く中、入札方式の改革、技術基準の見直し、PFI(民間資金活用事業)方式の導入などによって公共投資のコストの効率化が実施されている。このように、財政状況の改善を目指し公共投資の縮減が続いており、公共投資依存構造からの転換が、引き続き地域経済の課題となっている(8)

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