第1章 第1節 緩やかな持ち直しの状況が続いた地域経済 4.

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(4) 多くの地域において増加に転じた民間企業設備

民間設備投資は、企業収益の回復にやや遅れて持ち直しの動きが広がり、2002年度において実質GDP ベースではほぼ横ばい(前年度比0.1%減)と2001年度の3.6%の減少から改善をみせた。コンピュータ関連製品の価格の下落もあり、名目ベースでは減少を続け、2002年度には名目GDP ベースで4.4%減少し、前年の6.3%減少に続き2年連続の減少となった。2003年前半までの動きをみると、GDP ベースの民間設備投資は名目・実質ともに2002年7-9月期から2003年4-6月期まで4四半期連続して増加し、景気の持ち直しをけん引している。 2002年度における設備投資を地域別にみると、沖縄を除く全地域において減少した(5)。四国、近畿、九州、東北の4地域においては前年度比2けたの減少をみせた。次いで、中国、北海道、東海の3地域において全国平均(前年度比7.7%減)を上回る減少となった。特に、製造業においては、四国(同22.9%減)、東北(同17.1%減)、近畿(同15.1%減)、関東(同13.9%減)など、7地域において2けたの減少幅を示した(第2-1-5図(1))。 企業収益の増加にもかかわらず、多くの地域において設備投資が減少したことについては、景況感の改善が緩やかなことや事業再構築による海外への生産移管が関係しているとみられる。また、2002年度後半には、イラク戦争やSARS 問題の影響、海外経済の動向という国際的な要因に加え、国内においても株式市況の低下が続くなど金融システムを巡るリスクに対する懸念が高まったことが関係したとみられる。

2003年度に入ると、こうしたリスクに対する懸念が後退し、多くの地域において製造業を中心に設備投資の増加傾向がみられる。日本銀行の調査(6月調査)によると、2003年度の計画額は全国計でほぼ横ばい(前年度実績比0.1%減)となっているが、東海など6地域において増加している(第2-1-5図(2))。

このうち製造業については北海道と北陸を除くすべての地域において増加し、全国計では前年度実績比5.2%増となっている。特に、近畿と東北の製造業については、それぞれ同10.6%増、同9.9%増と前年の落ち込みから回復し、東海(同8.0%増)と九州(同6.5%増)の製造業についても高い伸びが見込まれている。一方、北海道と北陸においては、製造業が2けたの減少となるなど、他の地域に比べて動きが遅れており、設備投資の動きには地域差もみられる。

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