第2部 持ち直しの動きが続く地域の景気[第1章の要約]

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第2部 持ち直しの動きが続く地域の景気

2002年前半には、輸出の増加による鉱工業生産の持ち直しなどにより、多くの地域において景気は下げ止まりから持ち直しに向かった。2002年後半から2003年1-3月期にかけては、欧米景気の減速など海外要因に加え国内の個人消費がやや弱含んだことから、景気はおおむね横ばいとなったものの、2003年央においてはアジア向けなどの輸出の回復と設備投資の増加などにより、多くの地域において持ち直しの動きが続いている。

第2部においては、地域経済の動向について2002年4月から2003年央までの状況を中心に回顧する。特に、(1)2002年の景気の下げ止まりから2003年央までの持ち直しの状況、(2)地域によって違いのみられる景気持ち直しの動きについて分析する。以下では、第1章において地域経済の動向について以上の観点から概観し、第2章においては、地域ごとに経済動向を回顧する。

第1章 多くの地域において持ち直しの動きが続く地域経済

[第1章の要約]

1. 緩やかな持ち直しの状況が続いた地域経済

2002年前半には、輸出が増加したことなどから鉱工業生産の持ち直しが続き、多くの地域において景気は下げ止まりから持ち直しに向かった。2002年後半から2003年1-3月期にかけては、欧米景気の減速など海外要因に加え、雇用・所得環境の厳しさを反映し個人消費がやや弱含んだことから、景気はおおむね横ばいとなった。しかし、2003年央には、アジア向けなどの輸出が増加して生産も回復し、企業収益の増加を反映して民間設備投資も増加に転じるなど、多くの地域において持ち直しの動きが続いている。

輸出の増加に伴って自動車関連業種の生産が増加し、アジア向けを中心に素材産業と一般機械も増加したため、鉱工業生産は下げ止まりから持ち直しに動いた。生産の増加につれて雇用と所得環境も改善をみせたため、個人消費は天候などの影響に左右されたものの、おおむね横ばいで推移した。2002年に引き続き減少した住宅投資は、2003年前半にいくつかの地域において増加をみせたものの、各地域において持家の減少が続くなど弱い基調が続いた。公共投資も財政状況を反映して各地域で縮減が続いた。有効求人倍率は2002年1-3月期以降すべての地域において基調的に上昇を続けているものの、完全失業率が上昇するなど、雇用情勢は厳しい状況が続いた。企業倒産は、大型倒産は引き続き発生しているものの、2002年10-12月期以降ほとんどの地域において件数は減少傾向にある。

2. 引き続く景気の地域差

産業構成の違いなどを反映して、景気改善の状況には地域差がみられる。景気改善の進んでいる地域においては、(1)自動車と関連産業の生産増、(2)中国などのアジアに向けた輸出関連生産の増加、(3)デジタル家電など伸びている商品の生産増、という特徴がみられる。一方、景気改善の遅れている地域については、このような要因が目立たない。

このような景気の地域差をみると、中長期的に順位がほぼ固定されていることが分かる。地域差の大きさについては、2001年にやや拡大する傾向がみられたものの、2002年以降ほぼ同水準で推移しており、安定していることが分かる。

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