第2章 地域集積を活用している成長企業の事例[事例9]

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[事例9]株式会社Y(愛知県海部郡七宝町)

家具・装備品製造業

[産業集積のメリット]

  • 地域の外注先と、互いの能力を補い合える関係の構築を推進

[企業概要]

  • 資本金1,000万円、従業員数28→30→40人(2001→2002→2003)
  • 売上高312→553百万円(77%、2001.2→2002.2)

ちゅう房器具及び周辺家具の製造、据付工事を主体に、それらに付随する給排水、給湯設備、ちゅう房設備工事を受注している。なお、自社ではキャビネット類などの木工加工を行っており、器具類については各メーカーより調達し、工事については100%外注施工している。

設立の経緯は、98年3月に関連会社が行っていたシステムキッチンのキャビネット類の木工加工部門を分離して設立されたものである。営業基盤を引き継いだため、設立当初から一定の受注は得られていた。また、外注先が比較的地元に点在していたこともあって、顧客ニーズに早く対応する体制を整えやすかった。ただし、分離元の業況が厳しかったことから支援は全く無く、独力での経営となったため、採算確保重視の経営に努めた。

また、後発であったことから知名度が低く、新規顧客に対する営業には苦労したが、受注先の細かいニーズにも対応できるように心掛けた結果、大手デベロッパーや大手ゼネコンとの信頼関係を構築できたことで安定した受注を得られるようになった。さらに、実績を重ねるに連れて知名度が増し、新規顧客などの獲得も比較的順調に推移しており、直近の2003年2月期決算は、第1期決算である99年2月期と比較して、4倍以上の売上高となった。

この他、売上が伸びた要因としては、限られた間取りでもスペースを有効に確保できるちゅう房用器具や家具などの特注品に対応する技術は、他社に負けないものがあり、これが顧客のニーズにマッチしていることが挙げられる。

まだ会社の経営基盤を固めつつあるところであり、外注先以外の他企業との協力、連携は今のところないが、今後の拡大次第では現状の業態で対応しきれないケースも出てくる可能性があり、いずれ他企業との協力・連携は必要になると考えている。また、自社が中心となって積極的に地域の外注先との勉強会を月に1回程度実施してコミュニケーションを深めており、互いの技術力、知識等についての情報交流を図り、更なる技術力、営業力、提案力の強化や互いの能力を補い合える関係を構築しようと取り組んでいる。

基本的に特注品を主体とする受注内容であり、今後、システムキッチンが高級ワンルームマンション用の高付加価値商品となりそうであることから、それを主な取引先である大手デベロッパーや大手ゼネコンに提案していく計画である。

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