第2章 地域集積を活用している成長企業の事例[事例3]

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[事例3]H システム株式会社(北海道札幌市)

情報サービス・調査業

[産業集積のメリット]

  • 地域の2大学との共同研究を行い、産学連携を推進

[企業概要]

  • 資本金7,000万円、従業員数209→230→255人(2001→2002→2003(28)
  • 売上高1,348→1,672百万円(24%、2000.9→2001.9)

通信制御系を中心としたアプリケーションシステムの開発やファームウェア(ハードウェアの制御ソフト)の開発、ワークステーションやパソコンを主体としたシステム開発を主に行っている。

設立の経緯は、現代表が職歴を生かして、新天地で事業を起こしたいとの想いから、50歳になったのを機に、同僚などとともに94年5月にコンピュータソフト開発を目的として会社を設立したものである。

IT 関連企業の集積である「サッポロバレー」が近隣にあったが、設立当時は低経済成長が続いたため、受注の減少により立地企業は軒並み苦しい状況が続いた。また、地域の企業とコネクションもなく地縁や人脈などもなかったことから、顧客の開拓には苦労した。そのため、設立から2年間は赤字を強いられたが、現常務の前職時の取引先(東京の企業)などから受注を得ることができ、この成果が高く評価されたことがきっかけとなって徐々に受注が拡大していった。

特に、移動体通信機器の普及当初から通信端末機の最新機種の開発過程における品質管理システムや通信関連ファームの提供を行っていたため、通信系の大手メーカーを中心に継続的に受注を得ている。近年は、携帯電話やPHSなどの移動通信機器の普及により、通信制御系ファームウェアの売上が普及率の上昇に合わせるように増加している。

会社成長の要因としては、1.設立時に社員を募集した際に優秀な人材が多く集まり、その後も多くの理系の人材が入社して大きな戦力となったこと、2.携帯電話の普及によって北海道内ではまだ扱う企業が少なかった組み込み系(通信制御系)ファームウェアや通信技術が必要となったことで、関連したソフトウェア、システムLSI の開発力が高く評価されたことが挙げられる。

現在、道内の大学と産学連携を深めており、まだ商品化には至っていないものの、室蘭工業大学とは画像圧縮技術、北海道大学とは自然言語入力に関する共同研究を行っている。今後は、こうした研究成果などを活用して新たな事業にも取り組んでいく。

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