第2章 地域集積を活用している成長企業の事例[事例11]
[事例11]株式会社K(岡山県岡山市)
衣服・その他の繊維製品製造業
[産業集積のメリット]
- 自社で企画・デザインした製品を、集積している繊維関連企業に100%外注できる
[企業概要]
- 資本金2,000万円、従業員数30→50→121人(2001→2002→2003)
- 売上高723→2,218百万円(207%、2001.1→2002.1)
婦人服の製造・直営小売のメーカーであり、同卸売と一部紳士服の取扱も行っている。
95年2月、ファッション業界(小売)に従事していた現社長が、岡山市中心部にあるファッションビルに婦人服小売業(仕入販売100%)を個人創業した。当初は、新設の個人企業であることから仕入企業との信頼関係が希薄であり、新規取引にも苦労し、商品の仕入れが困難な時期もあった。
対策として、顧客のニーズの把握を徹底的に行い、顧客の定着化に努めて徐々に売上を伸ばしていった。また、商品の仕入れが困難なためにイギリスなどへの直接買い付けを行ったことが、逆に他店にない品ぞろえにつながり、ニーズ把握同様に顧客の定着に大きく貢献した。
売上が伸びた要因としては、1.集客力のある中核都市のファッションビルを中心に直営店舗を出店していること、2.マスコミ媒体(レディース・ファッション誌)の利用及び婦人トレンド商品の商品展開を行っていること、3.フランチャイズ店舗についても、レディース・ファッション誌に掲載されている強みがあることから、取引を希望する企業も多数あり、安定した実績を残していることの3点が挙げられる。
会社のある岡山市の隣、倉敷市・児島地区には繊維工業が地域の産業として根付いている。よって、自社で企画・デザインしたものを地区に集積している製造企業に100%外注できるため、自社で工場等の製造設備を持つ必要がないことが強みとなっている。また、多数の製造企業の存在による競争が活発なため、発注サイドとして調達コストを低減できるメリットもある。
個人創業から約10年で年商23億円を超える企業へ成長したが、更に年商100億円突破を目標に掲げ、人材育成に重点を置いている。具体的には、社員の外部セミナー参加や中間管理職の計数管理教育を強化している。
今までは、20~25歳の婦人を中心としたブランド展開を行ってきたが、創業以来9年が経過し、初期顧客も子供を抱える年齢となってきていることから、今後の事業展開として、対象年齢層を上げた新ブランドを立ち上げる計画や、子供服やペット関連のファッションを提供することも検討している。