第1部 産業集積の力による地域経済の再生

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地域の経済状況をみると、輸出と設備投資などの増加によって、多くの地域において持ち直しの動きが続き、2003年半ばには緩やかながらも回復の動きが広がりつつある。その一方で、工場の整理と移転、失業率の上昇、地価の下落が引き続きみられ、地域経済の活力の低下が懸念されている。

そうした中で、地域における産業の生産性を高める手段として、様々な革新(イノベーション)を促進するタイプの産業集積の効果が認識されている。このような「イノベーションを促進するタイプの産業集積」は、単なる産業集積とは区別され、特に「クラスター」と呼ばれている。

他の先進工業国をみると、地域経済の再生に成功した地域においては、このクラスターの効果を活用し、地域の産業と企業の生産性と競争力を高めている実例が多くみられる。日本においても、地域における産業集積や知的集積の活性化によってクラスターが形成されてゆくことが、地域産業の競争力の向上、そして地域経済の活力の回復につながるものと期待されている。

第1部においては、地域における産業集積を取り上げ、事例とデータに基づいて集積の効果を検証する。第1章では、集積のメリットを活用して地域の産業活性化に取り組んでいる各地域の実例を取り上げる。第2章では、集積のメリットを活用しつつ売上を伸ばしている成長企業の事例を取り上げる。第3章では、各地域における産業集積と雇用、生産性などとの関係についてデータに基づいて分析する。

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