第2部 第2章 地域別に見た経済情勢 東北
(3) 東北地域の特徴
域内人口は1,228万人(2002年)で、対前年比0.26%減少した(65歳以上人口の比率は21.4%)。域内総生産は43兆円(99年度)で対前年度比0.3%減少し、製造品出荷額等は21兆円(2001年速報)で対前年比7.3%減少した。主な指標の対全国シェアの推移をみると、域内人口のシェアが低下したものの、域内総生産、製造品出荷額等のシェアは上昇した。小売販売額はおおむね同水準であり、卸売販売額は95年にシェアが上昇したものの、99年には85年の水準まで低下した。
域内総生産に占める産業別構成比をみると、99年度においては、全国に比べて建設業の割合が高く、製造業、卸小売業、サービス業等の割合が低い。85年度からの構成比の推移をみると、建設業、不動産業、サービス業等は構成比が上昇したが、製造業等は構成比が低下した。また、卸小売業は90年度から99年度にかけて構成比が低下した。
就業者の産業別構成比の推移をみると、サービス業の割合が上昇した。卸売・小売、飲食店は95年まで低下したものの、2001年には上昇した。建設業は95年に上昇し、その後は同水準となっている。製造業は90年に上昇したものの、その後は低下している。
3.2001年度から2002年央までの経済動向
2001年には、輸出の減少によりIT関連業種において減産が続き、鉱工業生産は大幅に減少した。完全失業率の上昇が続くなど雇用情勢は厳しさを増し、個人消費もやや弱含んだ。2002年に入り、輸出の増加からIT関連業種の生産が持ち直し、鉱工業生産は増加に転じた。このように、東北地域の景気は下げ止まりつつある。
生産活動:2001年度には、世界的なIT需要の後退の影響を受け鉱工業生産の3割強を占める電気機械を中心に急激に減少した。2002年に入り、電気機械が輸出の増加した電子部品を中心に持ち直し、これが電子部品向けファイン・セラミックス等にも波及して窯業・土石も持ち直している。電気機械に次いで構成比の大きな食料品・たばこの生産は、水産加工品を中心に一進一退で推移した。一般機械は、電気機械関連の設備投資が減少している影響を受けているものの、金型、産業用ロボットの一部では増加した。
個人消費:百貨店では、ブランド品や地下食品売場で好調な動きもみられたが、テナント導入効果が一巡したことに加え、民事再生法を申請した百貨店店舗の売上が大きく減少したため、販売額は対前年比で減少を続けた。スーパーでは、郊外大型店の出店による効果が一巡し、全店舗ベースでの売上高も前年比で減少に転じたものの、2002年に入り飲食料品の売上が回復したことから、減少幅は縮小した。コンビニエンス・ストアも、店舗増により全店舗ベースでは売上高が増加したものの、既存店ベースで大幅に減少するなど、大型小売店販売はやや弱含んでいる。乗用車新規登録・届出台数は、2001年には一進一退で推移したものの、2002年に入り、小型車、軽自動車を中心に前年を上回っている。
建設活動:公共工事請負金額は、月々の変動を均してみると基調として前年を下回った。新設住宅着工戸数は、貸家を中心に前年を上回る動きがみられたものの、ウェイトの高い持家で前年を下回り、減少している。
設備投資:2001年度は、電気機械など製造業を中心に大幅に減少し、2002年度計画は、電気機械をはじめほとんどの業種で投資を引き続き抑制するため、前年度実績を下回っている。
雇用情勢:2001年中は、有効求人倍率が低下し、完全失業率は上昇を続けた。2002年に入り、有効求人倍率は上昇に転じたものの、事業主都合離職者が増加したことから完全失業率は前年水準を上回り、さらに厳しさを増している。
企業倒産:企業倒産件数は、2001年前半は増加傾向で推移していたが、後半は減少した。2002年に入り再び増加している。
4.「景気ウォッチャー調査」にみる東北地域の景況
- 現状判断DIは、2001年4月の39.9から12月の26.7(調査開始以来最低水準)まで低下を続けた。その後は上昇を続け、2002年5月には47.4となったものの、再び低下し、9月まで32か月連続して50を下回った。