第2部 第1章 持ち直しの動きをみせる地域経済

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[第1章の要約]

1.持ち直しの動きが広がった地域経済

2001年4月以降、すべての地域において景気は後退を続けた。電気機械を中心とする在庫調整により鉱工業生産は大幅に減少し、これを反映して設備投資も減少が続いた。景況の悪化などにより、個人消費も2001年後半に弱い動きをみせたが、2002年央にはおおむね横ばいとなっている。住宅投資は、ほとんどの地域で弱い状況が続いている。公共投資も財政状況を反映して減少が続いている。2001年中に低下し続けた有効求人倍率は、2002年にかけて新規求人数の増加から下げ止まったが、完全失業率は各地域で上昇し、厳しい雇用情勢が続いた。企業倒産は各地で高水準が続き、2002年央においてもなお多くの地域で増加傾向にある。

2.IT関連生産による地域間の景況格差

2002年4-6月期までにはすべての地域で製造業の在庫調整が終了した。今回の在庫調整の深さを分けたのは、IT(情報技術)関連品目の比率であった。IT比率の高い東北、九州、関東では生産の減少率が大きいのに対し、輸送用機械に支えられた東海では減少率が小さくなっている。地域景況インデックスによると、IT比率の高い東北、北陸で低下幅が大きい一方で、観光に下支えされた地域では低下幅が相対的に小さくなっている。地域間の景況インデックスの格差は、2002年央にかけてやや拡大している。

3.デフレの中の地域経済

各地域の経済はデフレの状況が続いている。単価の下落に加え、消費者の低価格志向もあって、企業の売上高は伸びにくくなっている。物価と地価の下落が需要の下押し圧力となり、各地域において失業が増えている。デフレの背後には金融仲介機能の問題もある。地域金融機関の預金と貸出の動きをみると業態別に格差がみられ、企業の資金繰り判断も地域間格差が広がる中で、厳しい状況が続いている。倒産件数も各地域で高水準が続き、地域別の倒産には金融機関の動向の影響がみられる。また、倒産発生率の高い地域では完全失業率も高くなる傾向がみられた。

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