第2部 景況が悪化に転じた地域経済
2000年4月以降、各地域において鉱工業生産が増加し、企業収益は改善し、民間設備投資の増加が続くなど、企業部門を中心に景気の自律的回復に向けた動きが続いた。ところが、2000年末から2001年前半においては、電気機械を中心とするIT関連輸出の急速な減少を契機として多くの産業で生産が大幅に減少し、すべての地域において景況が下向きに転じた。2001年後半に入ってからも、各地域において景況の悪化が続いている。
第2部では、このような地域経済の景気動向について、2000年4月から2001年度前半までの状況を中心に回顧する。とりわけ、[1]2000年中の自律的回復に向けた動きの地域別の状況、[2]2001年における景況悪化の地域的な特徴、[3]現在の構造的な変化が地域別経済動向に及ぼす影響に着目しつつ分析する。以下では、まず、第1章で以上のような観点から地域経済の総体的動向を概観し、続く第2章では、地域ごとに経済動向を回顧する。