第2部 第2章 地域別に見た経済情勢 南関東
(3) 南関東地域の特徴
域内人口は3,306万人(2001年)で、対前年比0.57%増加した(65歳以上人口の比率は14.8%)。域内総生産は153兆円(98年度)で対前年度比1.7%減少し、製造品出荷額等は66兆円(2000年速報)で対前年比1.9%増加した。主な指標の対全国シェアの推移をみると、域内人口が上昇し、製造品出荷額等は低下した。域内総生産は95年度までは上昇していたが、98年度はわずかに低下した。"
域内総生産に占める産業別構成比をみると、98年度においては、全国に比べてサービス業、卸小売業、運輸・通信業、不動産業の割合が高く、製造業、建設業の割合が低い。85年度からの構成比の推移をみると、サービス業、不動産業、運輸・通信業はシェアが上昇したが、製造業、卸小売業等はシェアが低下した。建設業は90年度にシェアが上昇したものの、98年度は低下した。
就業者の産業別構成比の推移をみると、製造業の低下、サービス業の上昇が続いている。卸売・小売、飲食店は95年まで低下したものの、2000年は上昇した。建設業は95年まで上昇したものの、2000年は低下した。
3.2000年度から2001年度前半の経済動向
2000年度に入ってからは、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に現れ、南関東地域の景気は緩やかな改善が続いていた。2000年後半になるとアメリカ経済の減速等によりIT関連を中心に輸出の増勢が鈍化し、景気の改善のテンポはより緩やかになった。2001年以降は、IT関連需要の不振の影響がさらに広がり、電気機械を中心に生産が大幅に減少するとともに、住宅建設が緩やかに減少し、雇用情勢はやや厳しい状況が続いた。南関東地域の景気は、おおむね全国と同様に悪化が続いた。
生産活動:鉱工業生産は2000年前半には緩やかに増加したものの、年後半からは増加のテンポがより緩やかになった。電気機械では、パソコン、携帯電話関連を中心に、一般機械でも情報通信機器関連を中心に増加が続き、輸送機械については、自動車生産が輸出向けを中心に増加したが、2001年以降はアメリカ経済の影響などにより減少傾向となった。その後、IT関連の需要減少から鉱工業生産は大幅に減少している。
個人消費:大型小売店販売額は、天候不順等の影響で衣料の動きが鈍かったことに加え、消費者の低価格志向と消費マインドの冷え込みにより、低調な状態が続いた。百貨店では、2000年に天候不順等から夏物衣料の動きが鈍く、中元商戦も法人需要が低調であった。9月には気温の低下に加え、閉店セールやプロ野球優勝セール等により一時的に前年を上回ったが、それ以降は前年を下回る状態が続いた。2001年には、猛暑等の天候要因や店舗のリニューアル効果などから、都心部を中心に売上が前年を上回る動きもみられた。スーパーでは、野菜の市況下落、衣料品と身の回り品の価格低下が影響し、販売額は前年割れが続いた。一方、乗用車新規登録・届出台数は増加を続けた。
建設活動:公共工事請負金額は、基調として前年を下回った。新設住宅着工戸数は、2000年には堅調なマンション着工に支えられて増加傾向にあったが、2001年に入ると減少に転じた。
設備投資:2000年度は、電気機械や輸送用機械等が増加したため製造業は前年を上回ったものの、非製造業が前年を下回り、全産業では前年を下回った。2001年度計画は、製造業が増加するものの、全産業ではほぼ前年と同水準となっている。
雇用情勢:2000年には、完全失業率は依然として高い水準にあるものの、有効求人倍率が緩やかに上昇し、厳しい状況ながらやや改善の動きがみられた。2001年に入ると、有効求人倍率がおおむね横ばいとなったことから、やや厳しい状況となっている。
企業倒産:企業倒産件数は大幅に増加している。大型倒産も発生し、2000年10月には負債総額が過去最大の7兆9,412億円を記録した。2001年度前半には、倒産件数の増勢は鈍化している。"
4.「景気ウォッチャー調査」にみる南関東地域の景況
- 現状判断DIは、2000年10月の48.1から2001年5月を除き低下を続けた。2001年9月調査では30.0と調査開始以来最低水準となり、調査開始以来12か月連続で50を下回った。