第2部 第2章 地域別に見た経済情勢 中国
(3) 中国地域の特徴
域内人口は774万人(2001年)で、対前年比0.13%減少した(65歳以上人口の比率は20.8%)。域内総生産は28兆円(98年度)で対前年度比1.1%減少し、製造品出荷額等は21兆円(2000年速報)で対前年比3.3%増加した。主な指標の対全国シェアの推移をみると、域内人口と製造品出荷額は75年度からシェアが低下している。域内総生産は75年度から95年度にかけてシェアが低下し、その後は同水準となっている。
域内総生産に占める産業別構成比をみると、98年度においては、全国に比べて製造業、建設業の割合が高く、不動産業、サービス業の割合が低い。85年度から構成比の推移をみると、不動産、運輸・通信は構成比が上昇し、卸小売業は低下した。サービス業は90年度に低下したが、98年度に上昇した。製造業、建設業は90年度にシェアが上昇したが、98年度に低下した。
就業者の産業別構成比の推移をみると、サービス業の上昇と製造業の低下が続いている。卸売・小売、飲食店は95年まで低下したが、2000年に上昇した。建設業は90年に低下したが、95年に上昇し、その後は同水準となっている。
3.2000年度から2001年度前半までの経済動向
アジア向け輸出の増加によって景気が改善していた中国地域では、電気機械を中心に鉱工業生産が増加傾向にあり、雇用情勢がやや改善したことにみられるように、2000年中は景気の改善が続いた。ところが、2000年末には、輸出の減少により生産増加のテンポは緩やかになり、個人消費も大手百貨店グループの経営不振と鳥取県西部地震の影響によりやや弱含むなど、景気は改善のテンポが緩やかになった。2001年初には生産がさらに減少し、個人消費も芸予地震の影響も加わって弱含み、雇用情勢も厳しい状況となるなど、景気は弱含んだ。そして、春からは猛暑により個人消費が一時的に増加したものの、鉱工業生産はさらに減少し、中国地域の景気は弱まっている。
生産活動:ユーロ安による輸出の減少とリコール問題による生産停止から自動車の生産が減少したものの、電気機械、鉄鋼、化学が増加したこと等から、鉱工業生産は2000年中には増加傾向にあった。ところが、2000年末には鉄鋼、化学において輸出が減少し、電気機械もIT関連需要の減速から弱含んだため、生産増加のテンポは緩やかになった。2001年初には世界的なIT不況に伴う輸出の減少から電気機械が減少し、石油・石炭製品で芸予地震による生産停止の影響もあって、鉱工業生産は減少した。春以降、鉄鋼、化学での減産強化も加わり、鉱工業生産はさらに減少している。
個人消費:大型小売店販売額をみると、百貨店では大手百貨店グループの経営不振、鳥取県西部地震と芸予地震の影響もあって消費マインドが低下し、売上は前年割れが続いた。2001年春から、中元商戦や猛暑による夏物セールが好調であったことから一時は前年を上回る動きもみられた。スーパーでは2001年3月に家電リサイクル法施行前の駆け込み需要によって対象となる家電の売上が増加したものの4月以降は減少し、飲食料品や衣料品も不振なことから、売上は対前年比で減少を続けた。また、乗用車新規登録・届出台数も対前年比でおおむね減少が続いている。
建設活動:公共工事請負金額は、基調としては前年を下回ったが、2001年4~6月期には前年を上回った。新設住宅着工戸数は、2000年秋に持家が増加して一時的に前年を上回ったものの、基調として減少し、2001年央には減少幅が拡大した。
設備投資:2000年度には、電気機械など製造業は前年を上回ったものの、全産業ではおおむね横ばいとなった。2001年度計画は、非製造業を中心に全産業でも前年度実績を下回っている。
雇用情勢:2000年度には、有効求人倍率が緩やかに上昇するなど、やや改善の動きもみられたが、2001年初からは有効求人倍率が低下し、厳しい状況になっている。
企業倒産:企業倒産件数は、2000年初から中小企業に対する特別信用保証制度の政策効果の一巡などから総じて増加が続いたが、2001年初からは金融の追加的緩和措置もあってほぼ横ばいとなった。ただし、大手百貨店などの大型倒産が続き、負債総額は増大している。
4.「景気ウォッチャー調査」にみる中国地域の景況
- 現状判断DIは、2000年10月には46.0であったが、その後2001年4、5月を除いて低下傾向にある。2001年9月調査では32.5と調査開始以来最低水準となり、12か月連続で50を下回った。