第1部 第2章 第3節 企業と市場の成長を通じて創出される地域の雇用[第3節の要約]

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1.地域の特徴的産業に多い成長企業

成長企業の分布を地域別にみると、南関東に集中している。製造業をみると地域で比較優位を持っている産業に成長企業が集中する傾向がみられる。サービス業については、生活・福祉関連の分野で相対的に地方での構成比が大きい。

2.差別化、潜在ニーズ開拓、先進化に分類される成長企業

地方においても様々な工夫を凝らし、未知の分野に挑戦する活気ある企業が数多く存在する。成長企業の事例を分類すると、[1]地域の特性を活かして差別化された商品開発を行っている事例、[2]新たな商品またはサービスを提供し消費者の支持を確保した事例、[3]技術開発の分野に注力して競争上優位にたっている事例、の3つに分類することができる。

3.サービス業の展開が左右する地域の雇用拡大

各地域において開業率は低下したものの、地方中核都市を擁する人口密集型の地域において開業率は比較的高く、また、開業率の高い業種によって雇用が創出された傾向がみられた。雇用を創出した業種は、初期の段階で都市部に開業し、次の段階において、都市部で競争力をつけた企業が周辺地域、地方圏において雇用を創出していくパターンが起きているとみられる。

4.地域の特性と市場の開拓を通じた雇用の創出

雇用の創出には、潜在ニーズの発掘、新技術の商品化、商品の市場導入という新市場開拓が必要である。それには、技術―商品―消費者についての情報が速く伝達されるネットワークが効果的である。TLO(技術移転機関)を通じた連携と、地域の事情や消費者の趣向・慣習に詳しい人材ネットワークの構築が期待される。そして、参加者が「対等」な立場を確保できることが、ネットワークの有効な機能には重要とみられる。

職業紹介事業や職業能力開発の充実による雇用ミスマッチの解消と、雇用ニ-ズのある地域へ人が移動する地域間移動は、地域の雇用問題をある程度緩和するものとみられる。しかし、地域の雇用問題をより本格的に解決するには、地域において新規の企業と産業が創り出されるということが不可欠とみられる。

本節では、まず1.において2000年版地域経済レポートと同様に、成長企業の地域別分布の特徴などを概観した後、成長企業の事例紹介を行う、さらに、2.では地域における新規開業の状況を業種ごとにみることによりその特徴をつかみ、最後に、3.で今後の地域における雇用創出の方策を考察する。

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