平成17年度

日本経済2005−2006

−デフレ脱却へ向けての現状と課題−

平成17年12月

内閣府政策統括官室
(経済財政分析担当)


はじめに

第1章 踊り場脱却後の日本経済の動向と課題

 第1節 景気回復が長期化する日本経済とそのリスク

  (1)2005年の日本経済の動向
    景気は緩やかな回復が続く
    GDPの動向
    一時的な調整を経て再び拡大しつつある情報化関連分野
    アジア向けを中心に持ち直す輸出
    一進一退で推移する非IT関連分野の生産
    堅調に景気を支える設備投資
    製造業は国際的な設備投資の最適化に沿って国内投資を増加
    企業部門の好調さの家計部門への波及が確かなものに
    フルタイム労働者を中心に雇用者数は増加、賃金も回復
    実質的な「正規化」が進む雇用
    所得の伸びに支えられ、個人消費は緩やかに増加
    家計の購入単価は上昇傾向に

  (2)原油価格の動向−今後の景気動向をみる上での留意点−
    世界的な需要増を背景に高騰を続ける原油価格
    産油国への所得移転は2005年で約2兆円(GDP比0.4パーセント)
    圧迫される価格転嫁力の弱い部門の企業収益
    これまでのところ限定的な個人消費への影響
    緩やかな回復を続ける経済全体への影響はこれまでのところ限定的
    長期的な影響として進展するエネルギー代替

 第2節 デフレの動向と金融政策

  (1)デフレの現状と展望
    依然として残るデフレ状況
    消費者物価の今後の動向をみる上での留意点
    実体経済からみたデフレ環境
    期待からみたデフレの行方
    物価動向の総合判断における留意点

  (2)金融政策の動向
    総じて安定的に推移する長短金利
    緩やかな増加を続けるマネーサプライ
    量的緩和解除に伴い市場の安定を確保するための金融政策の留意点

 第3節 財政の動向

    歳出押下げに寄与する公共事業関係費と公務員人件費
    増収に転ずる税収
    徐々に縮小しつつある財政赤字
    限定的とみられる税制変更のマクロ経済に与える影響

 第4節 まとめ

第2章 日本経済についての個別論点の整理

 第1節 金融市場の動向と日本経済

  1.2005年の金融市場動向

  (1)低下傾向を示した長期金利の動向
     景気が回復する中で長期金利は秋口まで低下
     長期金利への影響が大きい短期市場金利と米国実質長期金利
     長期金利の低位安定−量的緩和期待の継続と海外要因が背景
     世界的な貯蓄超過と構造的なディスインフレの下での国際資本フロー
     日本と海外との間の債券投資フローが活発化

  (2)上昇基調をたどった株価
     内需関連の株価上昇
     欧州からの対日株式投資が増加
     中期的に外国人保有比率が高まっている我が国の株式保有構造

  (3)今後の金融市場の動向における留意点
     長期金利上昇のリスク
     今後の株価の動向

  2.金利上昇の実体経済に与える潜在的影響の評価
     これまでの金利低下が所得再分配に与えた影響
     金利上昇は家計にプラスか?
     住宅ローン借入先の金利上昇リスクに注意が必要
     1%金利上昇は企業部門全体で2.9兆円の減益
     金利上昇は銀行の資金収益上は押上要因となるが国債評価損も発生
     長期金利上昇による財政リスク

  3.銀行部門の状況
     民間銀行貸出は住宅ローンと中小企業向けを中心に回復
     金融機関以外への広がりをみせる資産流動化
     間接金融における市場化への流れ
     家計の金融取引の多様化
     今後民間銀行貸出は増加していくか?

  4.地価と不動産関連市場の動向
     下げ止まり傾向が広がりをみせる地価−東京都区部は15年振りに上昇
     オフィス型の不動産−空室率は緩やかに低下、賃料はいまだ弱含み
     拡大するJ-REIT市場
     地価底入れとJ-REITとの関係
     J-REIT市場のみる上での今後の留意点

 第2節 資金の流れからみた企業行動の変化とその背景

  1.マクロ経済データからみた企業部門の貯蓄超過の背景とその変化
     投資超過基調だった企業部門は90年代後半以降は貯蓄超過へ
     金融取引面からみた企業部門の資金余剰の状況
     企業部門は投資抑制、利払い縮小による余剰資金で債務返済を実行

  2.ミクロ・データでみた企業の資金調達・利益処分の動向

  (1) 企業の資金調達・利益処分行動に関する理論的背景
     完全市場における企業の資金調達、利益処分の方法には特定の傾向はない
     不完全市場における資金調達、利益処分の方法には情報コスト等が影響を与える

  (2) 企業の資金調達行動に関する実証分析
     低下する企業の負債比率
     内部資金調達がしやすい企業ほど大きい債務比率の低下
     企業収益の改善により過剰債務の解消へ
     企業の資金調達手段は間接金融から直接金融へ
     内部留保率が高い企業ほど借入れを縮小、大企業は社債調達重視
     過剰債務解消の中で進む資金調達の多様化

  (3) 資金調達面からみた設備投資環境の改善
     投資採算性だけでなく資金調達面の要因も設備投資に影響
     過剰債務による設備投資下押し圧力は緩和

  (4) 利益処分の動向
     景気循環と独立して安定して推移する配当金額
     収益力が高く有利子負債が少ない企業は高配当を実現

  (5) 企業統治からみた企業の資金調達、利益処分
     株主型企業と銀行依存型企業の比較

  (6) 企業の資金調達・利益処分に関する分析のまとめ

  3.日本企業とアメリカ・欧州企業との比較分析
     企業の収益性・資金調達の国際比較−相対的に低い日本企業の収益性
     企業の投資・配当の国際比較−相対的に低い日本企業の投資・配当比率
     資本構成、利益処分からみて共通する日・米・欧の企業行動
     日本企業に特有な配当行動

  4.企業の賃金・雇用動向の変化

  (1) 企業の賃金決定行動の変化とその背景
     労働市場での需給関係とともに企業内事情が賃金に影響
     企業の過剰債務は賃金を抑制

  (2) 雇用・賃金体系の構造的変化とその背景
     大企業の専門的職種で進む成果主義的賃金の導入
     直接の相関はない成果主義的賃金導入と企業業績
     成果主義的賃金の導入により賃金格差は拡大

  5.まとめ

 第3節 まとめ
     景気回復が続く中で金融市場にもデフレ脱却の動き
     過剰債務の解消により企業の資金調達・利益処分行動は正常化へ
     今後の展望

〇コラム
    コラム1 輸出動向をみる指標
       コラム図1 輸出動向をみる指標
    コラム2 クールビズ運動と個人消費
       コラム図2 クールビズの与えた影響
    コラム3 期待インフレをめぐる理論的整理
    コラム4 デフレ下での金融政策をめぐる議論の整理
    コラム5 長期金利の謎(conundrum)
        コラム図5 東アジアの外貨準備保有高の推移
    コラム6 CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)導入にみる企業の資金効率化の動き
        コラム図6(1) CMSの導入・検討状況の推移
        コラム図6(2) 業種別CMSの導入・検討状況
    コラム7 キャッシュフロー経営とは
    コラム8 成果主義の評価に関する議論について

 

付図・付表

付注

参考文献