休眠預金等活用制度について

1.制度の全体像
2.これまでの活用実績
3.改正法による新たな支援手法
(参考)説明資料

1.制度の全体像

休眠預金等とは、10年以上、入出金等の取引がない預金等のことです。

休眠預金等は、各金融機関から預金保険機構に移管された後、毎年度、必要な額が「指定活用団体」に交付されます。
(指定活用団体として、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が2018年に指定されています)

JANPIAに交付された休眠預金等は、行政では対応することが難しい社会課題を解決するために、民間の団体が行う以下の3分野の活動に活用されます。

1.子どもや若者への支援
2.生活を営む上で困難を有する者への支援
3.地域活性化への支援

休眠預金等を活用してこれらの活動を実施し、社会課題の解決を目指す団体を「実行団体」と呼んでいます。

JANPIAは、特定の社会課題分野や地域の実情に精通した「資金分配団体」を通じて、実行団体への支援を行っています。

JANPIAは資金分配団体を、資金分配団体は実行団体を、それぞれ公募により選定しています。

また、実施した事業の成果の可視化に向けて、それぞれの団体において、事前に達成すべき成果を明示した上で、その成果の達成度合いを重視した社会的インパクト評価を実施しています。

制度の流れ

※預金者の方はいつでも、預金等があった金融機関の窓口に申請することで、預金の払戻しを受けることができます。

2.これまでの活用実績

2018年に休眠預金等活用法が施行され、2019年度から資金分配団体に対する助成が開始されています。

助成事業では、通常枠と緊急枠の2種類の公募枠が設定されています。

通常枠は、民間の創意工夫を発揮してもらうため、助成する期間を複数年(最長で3年)としています。

緊急枠は、休眠預金制度の対象となる活動分野において緊急的に生じる支援ニーズに対応するものであり、助成する期間は最長で1年としています。

助成額のこれまでの総額は、通常枠と緊急枠を合わせて、約290億円となっています(2024年3月19日時点)。

助成額(2023年末時点)

資金分配団体は、これまでに延べ286の団体が選定されており(重複を除くと126団体)、190の事業が実施されています(2024年3月19日時点)。1事業当たりの助成金額は、平均で約1.43億円となっています(2022年度事業までの数値)。

実行団体は、これまでに1079の団体が選定されています(2024年3月19日時点)。1事業当たりの助成金額は、平均で約1,300万円となっています(2022年度事業までの数値)。

実行団体の事業内容としては、一例として、社会から孤立した若者に対するきめ細やかな就労支援や、農業の担い手育成による地域づくりの支援などが挙げられます。具体的な事業については、JANPIAのウェブサイトからご覧いただけます。

3.改正法による新たな支援手法

休眠預金等活用法の施行から5年が経過したタイミングで、制度の見直しが行われ、2023年に休眠預金等活用法が改正されました。

これにより、「活動支援団体」や「出資」など、新たな支援手法が創設されました。

(1)活動支援団体

助成事業の実施に当たっては、資金分配団体や実行団体に対して、専門的な知識やノウハウの共有などの非資金的支援を提供することが、特に草創期の活動支援に効果的であり、その後の団体の自立につながることがわかりました。

そこで、これまでの資金支援を中心とした資金分配団体の助成事業とは別に、こうした非資金的支援を専門的に実施する「活動支援団体」を、新たに創設することとなりました。

活動支援団体は、
①資金分配団体になることを目指す団体や、既存の資金分配団体
②実行団体になることを目指す団体・個人や、既存の実行団体
に対して、それぞれが抱える組織や活動上の課題に応じて、専門的なアドバイスや支援を伴走型で行います。

活動支援団体

具体的な支援の内容は、
①事業実施(案件形成、ネットワーク形成、助成事業の運営等)
②組織運営(ガバナンス・コンプライアンス体制の構築、資金管理等)
③広報・ファンドレイジング
④社会的インパクト評価(評価手法の習得、ロジックモデル作成等)
の4分野です。

活動支援団体による支援により、ソーシャルセクターの担い手が育成されること等が期待されています。

(2)出資

社会課題の解決と経済成長の2つを追求する社会的起業家が増加し、新たな資金需要が生じる一方で、これまでの助成による資金提供では、こうしたニーズに十分に応えられていませんでした。

そのため、助成に加えて、出資による資金支援を始めることになりました。

出資事業では、出資を専門に実施するファンドや株式会社を、JANPIAが資金分配団体として選定します。その上で、資金分配団体が、初期のスタートアップなど民間資金が十分でない実行団体(株式会社)に対して、出資を行います。

資金分配団体は、JANPIAからの出資金だけでなく、民間の事業者からも出資を受けた上で、実行団体に出資します。

また、実行団体を選定するプロセスには、社会課題解決に関する専門家を関与させることとしています。

出資

1実行団体あたりの出資金額は、数千万円程度を目安としています。

出資事業の実施により、ソーシャルセクターへの民間資金の呼び水効果を一層発揮させること等が期待されます。

(参考)説明資料

休眠預金等活用制度についての詳細は、以下の資料もご参照ください。

休眠預金等活用制度について(PDF形式:1,488KB)PDFを別ウィンドウで開きます