平成10年

年次世界経済報告

アジア通貨・金融危機後の世界経済

平成10年11月20日

経済企画庁


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第1章 世界経済の現況


《第1章のポイント》

【世界経済の概観】

世界経済は,1997年には先進国で成長率が高まったほか,市場経済移行国でも景気が回復したが,97年1月1来のアジア通貨・金融危機の影響からアジアで成長率が鈍化した。アジア通貨・金融危機は世界経済全体にも影響を及ぼし,ロシアや中南米諸国等の為替・金融市場にも動揺が広がった。98年の世界全体の実質GDP成長率は減速が見込まれている。

【南北アメリカ】

アメリカ経済は,98年3月で景気拡大が8年目に入り,これまでのところ内需は引き続き堅調であり,ファンダメンタルズが揺らいでいる兆候はみられていない。しかし,98年8月末の株価急落など,先行きに対する不安材料もみられ始めている。

中南米では,総じて景気は鈍化傾向にある。

【ヨーロッパ】

大陸ヨーロッパ諸国では97年全体を通じた為替レートの減価傾向により輸出が好調となり,これが内需に波及する形で景気は総じて拡大している。

99年1月から開始される経済通貨統合(EMU)第3段階への最終準備が進むなかで,様々な観点から,ユーロの強弱に関する議論がなされている。市場経済移行国では,98年には,ロシアが再びマイナス成長となることなどにより,成長率はやや低下ずるものと見込まれている。

【アジア】

97年7月来の通貨・金融危機を経験したアジアでは,98年には東アジアを中心に成長率の大幅な低下が見込まれている。


本章では,第1節で世界経済の現況を概観した後,第2節で景気拡大が8年目に入ったアメリカ,総じて景気が鈍化傾向にある中南米など,南北アメリカの経済動向をみる。次に,第3節でドイツを始め景気が拡大している西ヨーロッパと,総じて拡大傾向の中・東ヨーロッパ,再びマイナス成長に転じたロシアなど,ヨ一ロッパの経済動向をみる。また,第4節で通貨・金融危機の影響から景気後退色が強まるアジア・大洋州の経済動向をみる。最後に,第5節で国際金融・商品の動向をみる。

各国経済の動向に加えて,アメリカでは今後のダウンサイド・リスクについて,ヨーロッパでは経済通貨統合開始に向けた最終準備状況について整理する。


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