平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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II 1990~91年の主要国の政策動向

第4章 フランス

1. 財政政策

フランス政府は,ここ数年,ECの経済・通貨統合をめざして緊縮的財政政策を堅持しており,86年に3%であった財政赤字額のGDP比率は,年々減少し,91年には1.2%まで低下した。この結果,フランスは現在,EC加盟国のなかで,財政赤字に関し経済パフォーマンスの最も良い国のひとっとなっている。では,92年度予算案を簡単にみてみよう。

フランス政府は,9月18日,92年度(92/1~12月)予算案を閣議決定した。今回の予算案は,これまで通り,物価安定を持続的成長の基本的要件とし,歳出の伸びを抑制する緊縮型である。政策上の最優先課題としては,①雇用増大,②国際競争力強化,の2点をあげ,歳出面では,教育(5.7%増),研究開発(5.9%増),産業育成(4.9%増)に重点配分する一方,軍事支出(0.9%増)などは抑制し,歳入面では,企業(とりわけ中小企業)の財務体質強化を目指した減税などの税制改正を盛り込んでいる(第4-1表)。

なお,本予算案は,10月に始まる国民議会の審議などを経て,若干修正された後12月31日に公布されている。


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