平成3年
年次世界経済報告 資料編
経済企画庁
II 1990~91年の主要国の政策動向
第1章 アメリカ
アメリカの金融制度改革は,米銀の国際競争力の強化を主眼に,当初は銀証分離規制の撤廃,州を超えた支店展開の容認等,業務の大幅な自由化を含む内容となっており,60年振りの包括的制度改革として期待された。しかし,審議過程で証券会社,保険会社等から反対の動きが起こる一方,米証券会社の不祥事等もあって法案は徐々に条件付きの自由化へと規制色を強めていった。また,銀行業界でも条件付きの自由化によってかえって既得権益を失うおそれも出てきたため包括的改革に対する反対が強まった。この結果,最終的には改革は,緊急を要する預金保険改革と銀行への当局の監督強化に絞った部分的なものにとどまり,包括的な改革は見送られることとなった。