平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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I 世界経済白書本編(要旨)

第3章 世界の資金循環の変化

第3節 世界の資金需要の高まり

先進国の長期金利は89年末から90年初にかけて高まりをみせ,その後も総じて高水準にとどまっている。これは,ドイツ,日本が金融引締め政策を実施したことに加え,89年秋以降の東欧の民主化,特にドイツ統一への動きが将来の資金需要を高めるとの期待が国際金融・資本市場において働いたためとみられる。また,アメリカの国債発行額が巨額に上ることも影響している。長期金利の高どまりは,アメリカ等の景気回復の足どりを重くしているほか,途上国の投資を抑え成長にマイナスに働いている。

今後の資金需要を見通すと,先進国,途上国ともに投資資金への需要が高まるものとみられる。先進国では,アメリカで景気回復とともに投資の伸びが高まるとみられるほか,ECでは市場統合が域内の産業の再編を促し,投資の必要性を高めている。途上国では,活発な成長を続けるアジアで資金需要が盛り上がっているほか,中東では戦後復興のための資金需要があり,ソ連・東欧,中南米では,潜在的な資金需要が存在する。


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