平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]

I 1989~90年の主要国経済

第11章 中  国:経済引締め策の一部見直しから回復に向かう

4. 投資動向

高い伸びを続けていた固定資産投資額も,89年は経済引締め策から急激に落ち込み前年比8.0%の減少となった(第11-4表)。90年も,年初に掲げた目標では,重点産業へ投資を集中させつつも基調としては圧縮策を続ける(90年計画では前年比ほぼ横ばい)としたものの,生産の高まらない工業部門への融資強化を進めたことから重点産業部門を中心に拡大する方向にある。

投資主体別にみると,89年では,国営企業が前年比8.2%減少し,86,87年と最も投資の導入が集中した集団所有制企業(特に郷鎮企業)は,同19.9%減と大幅に減少した。個人企業でも同1.0%増と大きく鈍化した(第11-4表)。また,投資資金の内訳をみると,89年は国家予算以外(自己資金,外資)からの投資の割合が引き続き拡大したが,引締め策の影響で国内借入が前年比21.7%減と大幅に減少し,外資も同7.7%増と伸び幅が大幅に鈍化した(第11-4表)。

基本建設投資額は,89年は前年比1.7%増と鈍化したが,90年に入ってからはエネルギー・原材料等への投資増を中心に拡大し,1~3月期前年同期比4.4%増,4~6月期同5.9%増と増加しており,当初の目標であった前年比12.2%減を上回る見込みである。

また,86年以降ホテル,事務所ビル等の非生産的な建設投資が厳しく制限されたことから,基本建設投資総額の内,生産的な投資の占める割合が拡大しつつあったが,89年は生産性投資が前年比9.1%減と急減したため,非生産性投資の割合がやや高まった(第11-4表)。しかし,90年は投資を重点産業へと集中させたため,生産性投資が1~9月期で前年同期比12.9%増となり,全体に占める割合も72.5%に上昇している。


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]