平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1989~90年の主要国経済

第11章 中  国:経済引締め策の一部見直しから回復に向かう

2. 農業生産

穀物生産は,88年はかんばつや,作付け面積の減少から前年比2.2%減となったが,89年は食糧増産のため作付け面積を1~2%増大したこと等から比較的好調で同3.4%増の4.1億トンとなり,過去最高だった84年時の水準に回復した(第11-2表)。しかし,増加したとはいえ,88年度と比べ僅か1,300万トンの増加であり,その間に国内人口が1,300万人以上増加しでいることを考えると,一人当たりの食糧生産量はむしろ前年よりも減少している。このため,90年に入っても,政府は引き続,き農業生産を重視し,農地水利建設の振興,技術導入による生産性向上,新規農業用地の開発,財政援助の強化,肥料等の農業生産手段の供給確保,農産物の流通経路の整備等に取り組んだ。加えて前年に引き続き気象条件が比較的良かったこともあり,90年は,夏季穀物生産量が前年比6.0%増の9,935万トンと好調な伸びをみせた。早稲も豊作で同5.3%増の5,051万トンに達し,年全体の穀物生産は4,2億トンを超え,過去最高の生産となる見通しである。

また,89年に不作となった経済作物は,作付け面積の拡大,国家の買い付け価格の引上げ(綿花前年比27.1%増,油料作物同28.3%増,砂糖きび等の糖料は1トン当たり15元の引上げ)から,90年は綿花が前年比で10%前後の増加となった(89年は同8.7%減)ほか,大豆,油料作物等も軒並み増産となっている。

副食品生産は89年に続き90年も好調を維持し,肉の総生産量が前年比5%増,水産物が同4.3%増となる見通しである。また,野菜の生産もがなり好調な伸びとなっている。

なお,政府は農産物売却難の対応策として,穀物の備蓄制度を地方にも確立し,穀物を積極的に買い付けて農民の生産意欲を削がないよう努める一方,不足となっている食糧貯蔵庫の建設,確保を進めている。


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