平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1989~90年の主要国経済

第3章 イギリス:景気後退色強まる

3. 生産・雇用

(1)生産,横ばいから低下へ

鉱工業生産は,89年には,主として北海石油事故によるエネルギー部門の減産(9.6%減)から0.4%増と前年の3.6%増から大きく鈍化した。さらに,89年秋から90年初にかけては,エネルギー部門の減少からほぼ横ばいとなった。90年春以降は,北海石油生産は回復してきたものの,製造業部門が内外需の鈍化から,5月以降連続低下している(総合の1~10月前年同期比0.3%増),(第3-5表)。財別にみると,資本財については,90年前半までは輸出を中心に好調な伸びを続けていたが,下期に入って大きく落ち込んでいる(1~10月の前年同期比1.3%増)。消費財生産も,89年下期以降,低下傾向となっている(同0.3%増)。中間財は,89年3.3%減の後,90年1~10月の前年同期比0.1%減と更に低下している。

(2)失業率年央以降高まる

成長減速の中で,これまでみられた雇用情勢の改善もほぼ頭打ちとなっている。雇用者数は,89年中に50万人増加した後,90年上期にも26.6万人増加した。しかし,この増加はほとんど全てサービス業の増加によるものであり(89年55万人増,90年上期24万人増),製造業では89年中に2.2万人の純減の後,90年上期にも2.6万人減少している(第3-6表)。また,90年6月末までの1年間の雇用者増48万人のうち,46%がパート・タイムであり,うち87%が女子となっている。自営業者数もこの間に14万人増と,増加を続けているが,前年同期の25万人増と比較して小幅化している。未充足求人数の減少傾向も続いている(89年11.7%減,90年1~10月18.3%減)。

失業者数は,86年7月以来44か月にわたって減少を続けてきたが,90年4月以降増加に転じ,その後11月までに15.5万人増加して176万人となった(ピーク時の86年7月は321万人)。失業率も96年3~4月の5.6%を底に上昇に転じ,11月現在6.2%となっている(86年夏のピーク時は11.3%)。政府は,引き続き各種の雇用対策を実施しており,これらの対策の対象人員は90年9月現在約50万人(89年9月は60万人)となっている(第3-7表)。長期失業者に職業安定所職員との面接を義務づける再出発計画(Restart Inter-Views Scheme)による就職促進活動も引き続き積極的に実施されている(90年4~9月の累計は107万人。前年同期は84万人)。


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