平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第6章 イタリア:好調な成長続く

6. 経済政策

イタリアの財政赤字は先進諸国の中でも際立って大きく,深刻な問題となっている。ここ数年間でも増加し続けており,財政赤字は88年単年分で124兆リラ(対GDP比11.5%),累積額では88年末1,037兆リラ(同96.1%)に達している。

なお,財政赤字の中身をみると,利払い費が88年で88兆リラ(対GDP比8.1%)と財政赤字全体の70.6%もの大きな割合を占めており,利払い費の対GDP比は高金利もあって年々拡大傾向にある。一方利払いを除いた財政赤字では,88年36兆リラ(対GDP比3.4%)となり,対GDP比でも83年の6.5%をピークに年々低下を続けている。

政府は,こうした巨額の財政赤字に対処するため,ここ数年,緊縮予算を策定しているが,毎年議会での増額修正が行われることもあって,実効はほとんど挙がっていない。

しかし,89年7月に成立したアンドレオッティ内閣は,インフレ抑制とともに財政再建を経済運営の重点課題にしており,90年度(1~12月)予算案も厳しい緊縮型予算としている。その内容は,歳入をガソリン製造税や電力消費付加税の引き上げ,所得税や法人税の見直し等により9.3兆リラ増加させるとともに,歳出を各種国庫補助金の削減等により10.7兆リラ削減させることにより,90年の財政赤字を130兆リラ(対GDP比10.4%)以下に抑えるというものである。


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