平成元年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1988~89年の主要国経済
第6章 イタリア:好調な成長続く
貿易動向をみると,88年は,輸出(FOB)が166.8兆リラ(前年比10.8%増),輸入(CIF)が180.0兆リラ(同11.4%増)と,輸出入ともに2桁の伸びとなったが,貿易収支は13.2兆リラの赤字となり,87年の11.1兆リラの赤字からさらに悪化した。89年に入っても,消費・投資の国内需要の好調による輸入数量の増加や原油価格の上昇もあって,輸入の増加が目立って増えており,貿易収支は89年1~9月の累計で13.0兆リラの赤字(前年同期8.0兆リラの赤字)となった(第6-3図)。輸出入のうち,特に伸びの高かったものをみると,88年は,輸出では金属製品(前年比21.8%増),機械(同12.1%増),輸入では金属鉱石(同25.9%増),機械(同20.5%増),化学品(同17.6%増),89年に入ると,輸出では自動車(1~6月前年同期比30.1%増),機械(同21.0%増),輸入では金属鉱石(同53.2%増),自動車(同29.7%増),エネルギー製品(同27,5%増)等となっている。
また国際収支をみると,88年は貿易収支赤字の増加等から,経常収支は12.1兆リラの赤字(87年3.1兆リラの赤字)と大きく悪化し,89年は1~9月累計16.0兆リラの赤字(88年同期7.6兆リラの赤字)とさらに赤字幅が拡大している。しかし,高金利を背景とした資本収支の大幅黒字(88年13.0兆リラの黒字,89年1~3月期4.6兆リラの黒字)により,総合収支は,88年0.7兆リラの黒字,89年1~9月累計6.7兆リラの黒字となっている(第6-3表)。