平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]

I 1988~89年の主要国経済

第6章 イタリア:好調な成長続く

4. 賃金・物価

物価は,生計費上昇率が,80年の前年比21.0%をピークに低下を続け,87年には同4.6%ときわめて低い上昇率となった。88年も前年比5.0%の上昇となり,87年よりはやや高まったものの,引き続き落ち着いた動きとなった。しかし,過熱気味の内需の影響を主因に,付加価値税の標準税率引き上げ(88年7月)や同税の軽減税率引き上げ(89年1月)等の影響も加わり,生計費上昇率が,88年7~9月期前年同期比4.9%から,10~12月期同5.2%,89年1~3月期同6.1%,4~6月期同6.8%になるなど,88年末より物価は急速に高まりをみせた。その後,生計費上昇率は7~9月期前年同期比6.8%,10~12月期同6.2%となり上昇テンポがやや鈍化したものの,依然高い上昇率を続けており,89年の生計費上昇率は前年比6.6%となった。

一方,時間当たり賃金上昇率(製造業)は,85年末に行われたスカラ・モビレ(賃金の物価スライド条項)の,物価手当の削減を主内容とする改訂により,物価と賃金のスパイラルがほぼ断ち切られたことから,かっての2桁の上昇から86年以降は,86年前年比4.8%,87年同6.5%と緩やかな上昇にとどまっており,88年も前年比6.1%増となった。また,89年も1~9月前年同期比5.9%と緩やかな上昇となっている。なお時間当たり賃金上昇率(同)は,87年,88年と生計費上昇率を上回ったが,89年初以降は,生計費上昇率の急速な高まりにより生計費上昇率を下回っている(第6-2図)。


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]