平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]

I 1988~89年の主要国経済

第6章 イタリア:好調な成長続く

2. 需要動向

88年の実質GDPは,前年比3.9%増と87年(同3.0%増)を上回る成長を達成した後,89年に入ってからも1~3月期前期比0.8%増(前年同期比3.2%増),4~6月期同0.4%増(同3.1%増)と好調を続けている。

実質GDPの需要項目別の動向をみると,消費面では,個人消費が,実質賃金の増加等もあって,88年前年比3.8%増(87年同3.9%増)の後,89年1~3月期前期比0.8%増(前年同期比4.3%増),4~6月期同0.7%増(同4.1%増)と堅調な伸びを示している。自動車販売台数をみても,88年月平均18.2万台(前年比10.5%増)と年間で史上最高を記録した後,89年同19.7万台(同8.2%増)とさらに売れ行きを伸ばしている。

投資面では,機械設備投資は88年前年比6.0%増となり,大幅増となった87年(同14.1%増)に続き高い伸びを示した。これは,企業の近代化・合理化意欲の旺盛さによるもので,89年に入ってからも1~3月期前期比3.7%増(前年同期比10.2%増)と高い伸びとなり,4~6月期も同0.7%減(同7.1%増)となったものの高水準を続けている。また,建設投資も88年前年比3.7%増とこれまでの不振(87年同0.4%減)から回復傾向をみせており,89年も1~3月期前期比0.5%増(前年同期比2.3%増),4~6月期同0.1%増(同1.2%増)と緩やかながら増加を続けている。そのため,総固定資本形成は,88年前年比4.9%増と高い伸びを示した後(87年同6.8%増),89年1~3月期は前期比2.2%増(前年同期比6.5%増)となった。4~6月期は同0.3%減(同4.4%増)となったものの水準は引き続き高い。

この結果,国内最終需要は,対GDP前期比増加寄与度で88年プラス4.0%と87年(プラス4.5%)に続き高い寄与度となり,89年も1~3月期プラス1.1%,4~6月期プラス0.5%と好調を続けている。

一方,外需面では,実質輸出は88年前年比5.9%増と87年(同3.3%増)を上回る伸びとなったが,実質輸入も88年前年比7.2%増と87年(同10.1%増)に続き高い伸びとなったため,経常海外余剰の対GDP増加寄与度はマイナス0.6%と5年連続してマイナスの寄与度となった(87年,マイナス1.8%)。89年に入って実質輸出は,1~3月期前期比0.3%減(前年同期比12.1%増),4~6月期同7.6%増(同7.8%増),実質輸入は,1~3月期前期比3.4%増(前年同期比14.5%増),4~6月期同0.7%増(同9.7%増)と,輸出入ともに前期比伸び率では増減はあるものの,前年同期比では高い水準を続けている。89年の経常海外余剰は,対GDP前期比増加寄与度で1~3月期マイナス1.0%,4~6月期プラス1.6%増と四半期毎に増減を繰り返しているが,実額では大幅な赤字が続いている。

なお,政府経済見通し(89年9月)では,89年の成長を実績見込みで3.4%とみている(第6-1表)。


[前節] [次節] [目次] [年次リスト]