平成元年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1988~89年の主要国経済
第2章 カナダ:89年に入り,経済拡大はやや減速
消費者物価上昇率は,88年は前年比4.1%となり,全体として比較的落ち着いた動きとなった(第2-4図)。しかし,89年に入ってがらは,やや高まりをみせ,4月,6月に実施された連邦売上税増税の影響がら,年央以降,前年同月比5%台と,高い上昇率となり,その後高水準ながらほぼ横ばいで推移した(89年前年比5.0%)。また,食料・エネルギーを除いた消費者物価上昇率も,ほぼ総合の消費者物価と同様の動きを示しており,89年入り後,高まった(88年前年比4.8%,89年1~11月期前年同期比5.5%)。卸売物価上昇率は,88年1~3月期をピークに(前年同期比5.0%),石油価格,一次金属価格の下落から,低下を続け,89年7月以降は前月比マイナスとなるなど,消費者物価とは,対照的な動きを示している(89年1~11月期前年同期比1.9%)。また,賃金上昇率をみると,88年中は,消費者物価,卸売物価を上回る上昇をみせたが,88年後半から89年初にかけて,一時落ち着いた。しかし,その後,失業率の下げ止まりや,ストライキ等による,高い賃金協約の締結もあり(89年4~6月期前年同期比5.1%,7~9月期同5,9%),89年1~9月期前年同月比4.7%と高まり,インフレ懸念を招く主因となっている。