平成元年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1988~89年の主要国経済
第2章 カナダ:89年に入り,経済拡大はやや減速
88年の鉱工業生産は,耐久財部門を中心に概ね堅調に推移し,前年比6.2%増と87年に比べ伸びを高めた(第2-1表)。しかし,非耐久財部門の伸びは,88年4~6月期頃から鈍化しており,耐久財部門も,88年後半以降の伸びが緩やかとなっている。89年に入ると,全体では,1~9月期前年同期比1.2%増となっている。
雇用情勢はおおむね順調に改善し,雇用者数の増加傾向が続くなかで,失業率も緩やかに低下した(第2-3図)。失業率は,88年は,全体で7.7~7.8%とほぼ横ばいで推移し,89年にはいると,若年(15-24歳)失業率の改善から,さらに0.2~0.3%低下した。業種別失業率の傾向をみると,89年以降,雇用者数の約30%をしめる製造業部門では8.4%程度,サービス部門では6.5%程度でほぼ横ばいとなっている。一方,雇用情勢の改善は,すべての州にわたってみられたものの,地域間格差は依然存在しており,カナダ全体と,最高失業率州であるニューファンドランド州(カナダ北東部)とでは,9%程度の開きがある(付図2-1)。