平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第2章 カナダ:89年に入り,経済拡大はやや減速

2. 需要動向

①88年の実質個人消費は,87年に引き続く景気拡大に加え,88年1月に実施された減税により,個人可処分所得が順調に増加したことから,前年比4.3%増と,87年の4.9%増よりはやや伸びが鈍化したものの,堅調に推移した。89年に入ってから,増加のテンポは弱まったものの,耐久財,非耐久財ともにほぼ堅調であり,1~9月期前年同期比3.9%増となっている。一方,個人貯蓄率は,82年以降低下を続け,88年前期には,8%台にまで低下したが,その後,高金利の影響等から上向いている。

②実質民間住宅投資は,85年以降急増を続けていたが,88年には需要の一巡,金利の上昇に加え,住宅取得価格の高騰により,前年比4.6%増と,落ち着きを取りもどした(第2-1図)。89年1~9月期も前年同期比4.1%増と大蔵省見通し(△2.3%・89年4月時点)を上回っているが,集合住宅の空家率の上昇は先行きマイナス要因である。住宅着工件数をみても,88年前年比9.5%減,89年1~10月期前年同期比1.7%減と低迷している。

③実質民間設備投資をみると,87年初の構築物への投資の回復をきっかけに,構築物,機械設備とも順調に伸びた後,88年は,機械設備への投資(前年比23.1%増)が主因となり前年比18.9%増と大幅に増加した(第2-2図)。89年に入ってからも,高水準の稼働率(主に電気機械,非鉄金属部門)等から,企業の投資意欲は強く,1~9月期前年同期比8.8%増と好調に推移している。

④政府支出は,財政赤字削減を進めていることから低く抑えられており,88年は前年比3.4%増となった。89年に入ると1~9月期前年同期比2.7%増となっている。

⑤在庫投資は,87年には実質GDPへの寄与度は,0.0%であったが,88年にはマイナスの1.7%となった。しかし88後半から89年前半にかけて積み増しに転じている。


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