昭和63年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1987~88年の主要国経済
第11章 ソ連:88年,経済はやや回復へ
貿易動向をみると(第11-4表,第11-1図),ソ連の主要輸出品である石油の国際価格下落等から戦後初めて貿易取引額が前年を下回った86年に続いて,87年も再び前年を下回るなど,ソ連貿易は不振が続いていたが,88年に入ってようやく回復を示し始めてきている。88年1~6月期前年同期比で輸出(金額ベース,以下同じ)3.0%増,輸入(同)6.6%増と拡大傾向にある。貿易収支は輸入の急増を受けて,近年続いていた黒字から1~6月期で3.7億ルーブルの赤字となった(87年1~6月期は7.3億ルーブルの黒字)。
取引圏別の貿易額を1~6月期の前年同期比でみると,対社会主義諸国との取引では輸出0.5%増,輸入1.8%増とあまり伸びていない反面,対西側工業諸国との取引では,輸出8.8%増,輸入19.9%増,対発展途上諸国との取引では輸出6.9%増,輸入10.3%増と,大幅な増加となった。また,対西側工業諸国との貿易収支は,88年1~6月期で18.3億ルーブルの赤字(87年1~6月期は9.4億ルーブルの赤字)であった。
取引圏別のウェイトをみると(前掲第11-1図),近年,西側諸国のウェイトが低下してきていたが,87年以降の西側との貿易自由化や合弁企業促進の政策により,88年になって対西側の貿易取引額が次第に回復してきていることがら,今後は先進工業諸国を中心に西側諸国のウェイトの高まりが見込まれる。